宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月27日、4月25日に発生したネパールの地震を陸域観測技術衛星「だいち2号」で観測した結果を公表した。

だいち2号は、2006年から2011年まで運用された「だいち」の後継機として、災害状況把握、国土保全管理、資源探査、森林監視など幅広い分野への貢献を目的とする地球観測衛星。世界最高水準のLバンド合成開口レーダー(PALSAR-2)を搭載し、高分解能かつ広域なレーダー画像取得が可能となっている。今回の観測はセンチネル・アジアや国際災害チャータなどの緊急観測要請に基づくもので、「だいち2号」のPALSAR-2を用いて4月26日に行った。

JAXAは今後も関係機関と協力し、ネパールの観測を継続する予定としている。

今回の観測範囲 (C)JAXA EORC

観測画像の全体図(赤:HH、緑:HV、青:HH偏波によるカラー合成画像)。観測モードは高分解能3mモード(2偏波)を使用。画像の色は観測偏波の違いを表し、主に明るい紫や緑の領域が建物に相当する。色の違いは建物の形状や向きの違いによるもので、色が被害の度合いなどを直接示すものではない。(C)JAXA EORC

2015年4月26日の観測画像の一部(カトマンズ付近)を拡大したもの(上)と地震前の2015年3月13日に分解能10mモードで観測されていた地震前の画像(下)を比較したもの。分解能や観測の向きが異なるため単純な比較は出来ないが、地震後に暗くなっている領域は、建物の倒壊などにより、建物からの電波の反射が少なくなった可能性がある。図中の黄色の枠(1)はカトマンズのダルバール広場、枠(2)はネパールで最も高い構造物であるダラハラ・タワー(ビムセン・タワー)の位置に相当する。(C)JAXA EORC