米Dropboxは4月7日、ソフトバンク コマース&サービスと提携し、コラボレーションソリューションを提供すると発表した。来日中のCEO 兼 共同設立者 ドリュー・ハウストン氏は当日行われた記者会見で、日本法人の好調ぶりを口にする。

Dropbox CEO 兼 共同設立者 ドリュー・ハウストン氏(左)とドロップボックス・ジャパン 代表取締役社長 河村 浩明氏(右)

「メディアにDropboxが取り上げられたのは日本のメディアが最初だったし日本は重要な市場。昨年10月に日本法人を設立してから、更に100万ユーザーも増加した」(ハウストン氏)

現在のユーザー数は1000万を超えたが、コンシューマーだけではなく、ビジネス側の機会拡大も狙い、ソフトバンクとの提携を行った。

ソフトバンクは主要代理店として、ビジネス向けDropboxの販売を行うが、ソフトバンク以外にもサイボウズやアイ・オー・データ機器、ウイングアーク1st、アイ・オー・データ機器など13社と業務提携を結び、拡販を行う。

ビジネス向けのDropboxは、1ユーザーあたり月額1500円で5ユーザーより利用できる。1TBから利用できるため、通常の利用用途では問題も生じない可能性が高いが、容量を追加することも可能だ。企業利用を念頭に、アカウント管理機能とセキュリティ機能の充実も図っている。

電通の導入事例も公開

Dropboxの調査によると、日本のビジネスユーザーの5人に4人は会社で提供されているファイル同期・共有ソリューションに満足していないという。

「お客さんがどう考えているか調査したところ、個人で利用しているツールの方がいいと思っていることがわかった。これは非常に大きな要素。さくさくと仕事ができることを追求していきたい」(ハウストン氏)

続いて登壇した日本法人「ドロップボックス・ジャパン」の代表取締役社長 河村 浩明氏は2つの事例を紹介。日本最大の総合広告代理店「電通」とスマートフォンゲームパブリッシャー「エイリム」の導入事例で、両者ともにビジネスの効率化が図れたという。

「電通では、クライアントとの間でリッチコンテンツのやり取りが必要になる。広告事業は、仕事上、多くの人とコラボレーションしなければならず、コラボレーションこそ成功の鍵となる。今まではリッチコンテンツのやり取りでメールやUSBメモリを利用していたが、あるタイミングからDVDに入れてパートナーとやりとりを行っていた。

だけど、DVDのやり取りには、数百万円単位のコストがかかり、クライアントとのやり取りでタイムラグが生じてしまっては、時間通りに終わらせるためにある程度成果に妥協が必要となっていた。そこで、一部のプロジェクトからDropboxを使っていただいて、『クライアントにすいすいファイルを送れる』と評価いただいた。その上で、コストも圧縮できる点や、タイムスケジュール管理が容易になったことで、より質にフォーカスできるようになったと聞いている」(河村氏)

また、エイリムでもこれまではファイルのやり取りにFTPやメール、USBメモリを活用していたという。その後、一部の社員がDropboxを導入し、好評だったことから、ビジネスアカウントに切り替えた。こちらの例では、副作用としてファイルのやり取りもクラウドサービス化できたことから、社内にとどまる必要がなくなり、ワークライフバランスがとれる会社のデスクに縛られない働き方ができるようになったと社員に好評だという。

河村氏は、「さくさくと仕事ができるようにしなければならない。日本の企業が安心してDropboxを使えるようにすることで、労働生産性向上に繋がるようにしていくことが責務」と語り、Dropboxを通して社会全体の働き方改革や中小企業のビジネスの伸長を支えたいと目標を据える。今回の各社との提携では、コラボレーションアプリなどの包括的なソリューションの提供、とりわけセキュアブラウザやSSO、EMMといった業務効率改善に直接繋がる話が多い。

OnedriveやGoogle Drive、Boxなど、競合のクラウドストレージサービスも多い分野だが、コンシューマーで1000万人に支持される基盤を背景に、ビジネスユーザーも大きく取り込めるか注目される。

「(提携により)日本での事業を加速させることができるので、大変ワクワクしている」(ハウストン氏)