NTTコミュニケーションズは4月7日、事業説明会を開催し、代表取締役社長の有馬彰氏が、同社の企業向けサービスのビジョン「Global Cloud Vision 2015」について説明を行った。

NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 有馬彰氏

同社は2011年に「Global Cloud Vision」を発表し、同ビジョンに基づき、サービスの拡大を図ってきた。具体的には、グローバルでシームレスなマネジメントサービスを実現すべく、「マネージド・セキュリティ」「マネージドICT」「クラウド型アプリケーション」「データセンター/クラウド」「データネットワーク/VoIP」といった分野でM&Aを行ってきた。また、データセンター、クラウドサービス、VPNサービスの拡大も図ってきた。

有馬氏は、2015年はサービスの強化に向けて、「ネットワークと一体で"キャリアクラウド"の強化」「仮想化/Software Defined化の加速」「API機能の拡充」に取り組んでいると語った。

「クラウドサービスの提供にあたっては、ネットワーク事業者としての強みを生かしていきたい。また、顧客から、社内システムとクラウドサービスを連携させたいというニーズがあり、それを実現するため、API機能を拡充していく」(有馬氏)

グローバルVPNサービス「Arcstar Universal One」では、オプションサービスとして、「アドバンストアドバンストオプション〔仮想アプライアンスタイプ〕」「グローバルモバイル(仮称)」「Arcstar Universal One Virtual」「他社クラウド接続オプション(仮称)」が追加されている。

NTTコミュニケーションズのデータネットワーク/VoIPサービスのラインアップ

「アドバンストアドバンストオプション〔仮想アプライアンスタイプ〕」はNFVを実用化したもので、顧客の拠点にネットワーク機器を設置することなく、ファイアウォールなどのネットワーク機能をクラウドサービスとして提供するもの。国内では2015年2月より提供が始まっている。

「グローバルモバイル」とは、新興国における通信の安定化や拠点展開の迅速感度、多国籍企業のニーズに対応するモバイルアクセスを海外47カ国で提供するもの。

「Arcstar Universal One Virtual」は、クラウドからデバイスまで、オンデマンドかつセキュアに接続できる仮想ネットワーク環境を提供するSDNサービス。

「他社クラウド接続オプション(仮称)」は、NTT Comクラウドに加え、他社のクラウドサービスに接続するもの。現在は、セールスフォース・ドットコムの「Force.com」「Salesforce CRM」「Salesforce Chatter」に対応しているが、8月には、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)に対応する予定。

有馬氏は、他社クラウドサービスへの接続を強化する理由について、「在クラウドサービスとして、AWSとAzureを利用する企業ユーザーが多く、ハイブリッド・クラウド環境を提供していくのが現実解と言える」と述べた。

アドバンストアドバンストオプション〔仮想アプライアンスタイプ〕の概要

Arcstar Universal One Virtualの概要

他社クラウド接続オプション(仮称)の概要

また、データセンター/クラウド関連のサービスとしては、「Nexcenter」「Bizホスティング Enterprise Cloud」「Bizホスティング Cloud」を展開している。

同社は今年3月、ドイツ最大のデータセンター事業者であるe-shelterの株式取得を発表しており、欧州におけるデータセンターが拡充される見込みだ。e-shelterは欧州でサーバルーム面積の合計が約7万2500平方メートルに及ぶデータセンターを保有している。さらに、自社建設とM&Aを活用し、欧米とAPACを中心に拡充していく。

「Nexcenter」の拡充

さらに、次世代クラウド基盤として、専有型(Hosted Private Cloud/ベアメタル)と共有型(Public Cloud)を組み合わせて提供する予定だ。カスタマーポータルを通じて、既存のクラウドサービスや他社のクラウドサービスを含めて、一元管理を可能にする。今年12月までに提供したいという。

提供予定の「次世代クラウド基盤」の概要

有馬氏は、同社の課題として、データセンターの占有面積が海外でトップ3には入っているにもかかわらず、海外での知名度が高くないことを挙げていた。同社のビジネスを伸ばしていくうえで、海外での売上をアップさせることは必須だろう。

有馬氏は、同社の知名度を上げるうえでの有効策については、「市場に占める量が増えれば、自ずと知名度は上がるだろう。また、第三者である調査機関による評価も知名度につながる」と語っていた。