「まだ見ぬデカ盛りはないものか……」とネットサーフィンに勤しんでいたデカ盛りファンの筆者。すると、「東京都の上板橋にデカ盛りのイラン料理居酒屋がある」との情報が目に飛び込んできた。

イラン料理……のデカ盛り!? イラン料理にそもそもなじみがないので一体どんな店なのか想像もつかないが、胃袋的にワクワクする語感であることは間違いない。しかも、フードはすべて400円との噂!! 「イラン料理×デカ盛り×全フード400円」という魅惑的かつ摩訶不思議な組み合わせ。むむっ! こりゃ、実際に突撃してみるしかないですぜ!!

かわいらしい外観の「居酒屋 花門」。今日のオススメは「マンスのえがお」らしい。店内はカウンター席と座席がある。総席数は約20席

ダジャレ大好きな名物イラン人店主

実はほとんどの時計は針がない。理由を聞くと「料理ができるまで、この時計であと2分ね」と時間を稼ぐためらしい

やって来たのは東武東上線の上板橋駅から徒歩8分ほどの場所にある「居酒屋 花門」。看板にはでかでかと「COME ON」の文字が。つまり、「花門」に「カモン」。あぁ、なるほど……。クセ者のマスターがいるような気配をビンビンと感じつつ、おじゃましますっ!

「はい、いらっしゃい~」と、陽気に声をかけてくれたのは花門の名物マスターであり、イラン人のマンスさん。店内はいかにも日本的な雰囲気だが、ところどころに中東テイストが混じっている。……というか、そんなことよりもツッコミどころが多すぎる! まず、なんでこんなにたくさん時計があるんですか!?

「そんなことは"ほっとけい"ってね」(マンスさん)。

あああっ! 聞くんじゃなかった!! でも、ちょっと吹き出してしまった自分のバカバカッ! これ以上ツッコんでいたらキリがない気がするので、とりあえずデカ盛りをいただきたいですっ!! そこでさっそく「ポテトサラダ」と「イランの煮物」(各400円)を注文!

右からマンスさん、アルバイトのスタッフさん、マンスさんの奥さま

とある夫婦がキッカケで激安デカ盛りに!

ボリューム満点の「ポテトサラダ」(400円・税込み)。ちなみに食べきれない場合は、持ち帰り用のパックをくれるとのこと

そして、運ばれてきたポテトサラダを見て驚愕!! もう山ですやん! ポテサラマウンテンですやんっ!! これで400円だというのだからゴイスー!!!

だがしかし! 肝心なのはそのお味。では、いただきま~す! ……ウ、ウマい!! シンプルな味付けながら、茹で玉子とハムがゴロゴロと入っており、粗挽きのブラックペッパーがいいアクセントになっている!

……と、ポテサラを食べ進めているうちにイランの煮物が運ばれてきた。って、これも量がハンパない! お味は、例えるならトマトベースのスープカレーといった感じ。スパイスが効いてはいるが、優しい味でこれまたウマい! イラン料理を食べるのは初めてだが、なんだか懐かしい味だ。

味もさることながら、やっぱりこの量で400円は驚き! なんでこんなに安いんですか、マンスさん。

「20年くらい前、とあるご夫婦が来店したんだけど、奥さんが妊婦でね。奥さんは800円ほどするサイコロステーキを注文しようとしてたんだけど、旦那さんが『予算がないから安いのにしよう』と言って、サイコロステーキではなく380円の料理を食べて帰ったんだ。そのとき『もし、サイコロステーキが380円だったら奥さんも食べられたし、お腹の赤ちゃんにも栄養がいったんじゃないか』と考えたら悲しくなって、翌日に全メニューを380円にしたんだよね。しかも、逆に料理の量を増やしてやった(笑)。お客さんがみんな笑顔になって帰ってくれるのが一番大事。人が笑ってくれると自分も幸せをもらえるから」。

ひよこ豆やナス、鶏肉などが入った「イランの煮込み」(400円)。正式な料理名は「アブグーシュト」とのこと

ううう……なんていい話なんだ!

「私は周りの人に助けられながらお店をやってきたんだよ。隣のお豆腐屋さんには豆腐を分けてもらうこともあるし、とある男性は『花門にカモン! 』というブログを毎日書いてくれている。そういう絆って大事だと思う。その恩返しじゃないけど、『今、私に何ができるか』を考えて、お客さんに笑顔になってもらうために頑張ってるんだ。実は私、画家としても活動しているから、絵の売り上げを東北に寄付したりもしてるしね」。実はマンスさん、「日展」に7度も入賞するほどの絵の腕前なのだ。

ただのオヤジギャグ好きのイラン人だと思っていてすみません、素晴らしいです! ……と、感動していたのもつかの間、「私は林先生より前に『今でしょ! 』と言っていた」だの「さんまさんより前に『しょうゆうこと! 』っていうギャグを使っていた」だのと、また軽口をたたき始めたマンスさん。

真面目な話をしたかと思えば、しょうもない話を挟んでくる。でも、いつの間にか時間を忘れて笑顔になっていたのは事実だ。マンスさんの愛情がこもったデカ盛りとしょうもないダジャレでお腹いっぱいになりたい方は、今すぐ花門にカモン!!

※価格はすべて税込

(文・A4studio千葉雄樹)