Basemark CL v1.1(グラフ70~74)

Rightware
http://www.rightware.com/benchmarking-software/basemark-cl/

ここから2つほど、GPGPU系のベンチマーク結果を紹介したい。まずはBasemark CLの結果である。そもそもMaxwell系のGPUコアは、Kepler系と比べて単精度(32bit)は高速な一方、倍精度(64bit)はそもそも演算器を持っていないから低速となる。

実際、評価キットと共に届けられたReviewer's Guideの記載には、"Also like the GTX 980, overall double-precision instruction throughput is 1/32 tha rate of single-precision instruction throughput"(GTX 980と同様に、倍精度命令の実行スループットは単精度命令の32分の1になる)という記載がある。

もっとも倍精度演算ユニットを持つKepler世代にしてもGeForce GTX 7xxシリーズはこれを無効化しているので、利用できるのはTesla以外にはTITANあるいはTITAN Zのみなのだが。

ただ逆に言えば、単精度であれば十分高速に動作すると期待できるわけで、これを確認してみたいと思う。

というわけでまずはOverall(グラフ70)。Fractalに関してはMaxwellベースの2製品がやや高めだが、全般的にはRADEON系2製品がやや有利である。Physicsは同等といったところか。R9 290XとR9 295X2でスコアが同じなのは、Basemack CL側の問題(両方のGPUを同時に使う設定がない)ためである。

続いてはPhysical Simulation系4テストの詳細。ものによって得手不得手が明確にあるようで、ParticleとかFluid OperationではRADEON系が高い性能を出し、逆にSoft BodyやWave SimulationではMaxwell系が強い。Kepler系2製品は、全体としていいところ無しといった感じだ。

次がImage Manipulation(グラフ72)で、ここはRADEON系の圧勝である。この傾向は、動画に対して同じ処理を行うVideo Manipulation(グラフ73)でも同じで、全体としてのスコアはだいぶ違うが、各テストのスコアの比をKepler/Maxwell/RADEONで比較すると同じ程度になっているのが分かる。

逆転するのがFractalのテスト(Photo74)で、ジュリアセットのレンダリングはRADEON系がやや高めなのに対し、マンデルブロのレンダリングは、NVIDIA系が高くなっている。特にTITAN XはR9 295X2のダブルスコアに近い値となっており、これが全体としてNVIDIA有利というOverallになった結果と考えられる。

全般としては、TITAN XというかMaxwell系はKepler系よりも有利ではあるが、RADEONとは互角かちょっと及ばないといったあたりに落ち着く感じである。