東京都・渋谷のNANZUKAでは、70~80年代にかけて日本の広告業界を席巻したスーパーリアルイラストレーションの先駆者・山口はるみの個展「HARUMI GALS」を開催している。開催期間は4月4日まで(日月祝は休館)、開場時間は11:00~19:00、入場無料。

Harumi Yamaguchi, Look & See, 1976, Acrylic on Board, H40×W35.5cm (c)Harumi Yamaguchi Courtesy of the artist and NANZUKA

Harumi Yamaguchi, Basketball, 1975, Acrylic on Board, H72.9×W51.5cm (c)Harumi Yamaguchi Courtesy of the artist and NANZUKA

同展では、アートディレクションを手がける石岡英子、コピーを書いた小池一子とともに、山口がイラストレーターとして参加した"PARCO時代"のエアブラシ作品を中心に、残されたものの中から厳選された数十点を展示している。

山口の描く女性像は、いわゆるピンナップと呼ばれる男性目線のエロティシズムとはかけ離れており、女性自身が自分の性や存在を謳歌しているように見える。また、70年代に描いたボクシングや野球、スケートボードなどをする女性像は、1985年の「男女雇用機会均等法」施行以前の、女性が社会進出できる権利が得られていなかった時代において、男性社会へのアイロニーとも読みとることができる。

なお、山口はるみは島根県松江市生まれのイラストレーター。東京芸術大学油画科を卒業後、西武百貨店宣伝部に就職し、その後、フリーランスとなる。1969年、PARCOのオープンと同時にその広告制作にイラストレーターとして参加。1972年よりエアブラシを用いた女性像を描いている。