こちらのコラムでも何度か「民事信託[http://manetatsu.com/2014/09/35288/]」について触れてきましたが、実際には、どのようなシーンで利用するのか、はたまた、どのようにすれば利用できるのか…といったご質問を特に士業や不動産業者の方から多く受けます。


「認知症対策」として有効な民事信託
従前から申し上げている通り、民事信託には、遺言の限界をカバーしたり、ご本人が認知症になった場合でも、信託契約を締結していることにより、受託者を後見人のような位置付として対処することも可能です。

また、通常、認知症になってしまうと、事理弁識能力に欠けてしまうため、不動産を売却する際などには、成年後見制度を利用することが多く見受けられます。

しかし、成年後見制度の主旨からいえば、被後見人(ご本人)の財産を保護する事が目的なので、いざ、不動産の売却等を行うには、きちんとした理由が必要であり、仮に、不動産を売却する理由が、相続における「節税」目的であったり、はたまた「納税」対策であったりすると、当然として、ご本人の財産が目減りすると判断され、家裁の許可が下りません

もちろん、それが、ご本人の推定相続人達が、将来、相続手続き等で争いごとになってほしくないから…といった「分割」対策だとしても然りです。

ところが、予め民事信託を利用することにより、例え、不動産を売却しようとした時期に、ご本人の判断能力が欠けていても、信託契約において、受託者に管理処分権があれば、ご本人に代わって、受託者が不動産を売却することができます


民事信託は他の制度と組み合わせることも可能



民事信託のセミナーは相続分野に携わる各士業、及び不動産業者向けに、様々な箇所で開催されていますが、多くのセミナーは、この説明だけでオシマイです。

そう、「遺言」、「後見」、「民事信託」等の各々を独立した制度としての説明しかされません。しかし、実は、これらを組み合わせることにより、様々な対策が可能となります。

「遺言」×「民事信託」のハイブリッドな対策も当然有効ですし、特に、「民事信託」×「成年後見」等も非常に有効な対策です

例えば、ご本人が所有している不動産を信託財産とし、子を受託者、ご本人を受益者とした自益信託の契約を締結したとします。しかし、信託契約の時点で、ご本人に万が一の時に備え、信頼できる方に後見人となっていただけるような任意後見契約を利用するということも可能です。

このようなハイブリッドな対策を行うことにより、万が一、ご本人の判断能力が欠けてしまっても、不動産の運営・管理は子が受託者として全うし、そして、そこから生じる賃料等は、ご本人が自ら専任された任意後見契約による後見人が管理してくれます。

そのため、万が一、ご本人に何かっても、受託者である子が、他の兄弟姉妹等から、様々な言いがかりをつけれる…というトラブルを未然に防ぐことも可能であり、将来的な意味では、「円満相続(解決」に繋がるハイブリッドな存在であると言えます。(執筆者)