スズキ「アルト ターボ RS」の発売日が3月11日に決定し、ティザーサイトが公開された。新型「アルト」にターボモデルが設定されるのは、2000年に「エポ ターボ」「アルトワークス」が廃止となって以来。スポーツモデルということで、往年の「アルトワークス」の再来かと期待を集めている。

1980~1990年代の名車「アルトワークス」。丸目のヘッドランプも特徴的

5速AGSとパドルシフトの組み合わせ - 気になる5MTは?

「アルト ターボ RS」は、昨年発売された8代目「アルト」に、ターボチャージャーを搭載したスポーツモデル。8代目「アルト」発表会にてプロトタイプが公開された後、2015年1月には東京オートサロンにコンセプトモデル「アルト ターボ RS コンセプト」も展示されたが、いずれもボンネットやドアを開けて中を見ることはできなかった。発売日が決まったいまも、詳細は不明のままだ。

事前資料やティザーサイトを見ると、ボディカラーにはプロトタイプでお披露目された赤・白以外に黒も用意されること、5速AGS(オートギヤシフト)にパドルシフトを組み合わせた仕様が存在することなどがわかる。しかし、マニュアル車の設定の有無や駆動方式、64PSと予想される最高出力など、肝心なことに関してはなにも公表されていない。

今年の東京オートサロンに出展された「アルト ターボ RS コンセプト」

それだけに、かつてのターボ搭載スポーツ「アルトワークス」のようなモデルを期待して、いろいろと想像をふくらませてしまう。

ストリートでもモータースポーツでも愛された「アルトワークス」

2000年まで生産されていた「アルトワークス」は、「アルト」をベースとしたスポーツモデルだった。初代「アルトワークス」は、2代目「アルト」のスポーツグレードとして1987年に初登場。その後、「アルト」とは異なる丸目のヘッドライトを与えられ、独立した車種となった。4世代にわたってさまざまなグレードがラインナップされ、リッターカーを食う軽ホットハッチとして、ストリートでもモータースポーツでも愛されてきた。

初代の衝撃はいまも語り継がれている。中でも「RS-R」というグレードは、小さなボディにパワフルなインタークーラーターボエンジンを搭載した、フルタイム4WDの軽ボンネットバンという唯一無二の存在としてデビュー。それまで経済性や利便性がクローズアップされてきた軽自動車に、遊びや高性能という概念を持ち込んだ1台と言っていいだろう。

筆者が実際に目にする機会が多かったのは、2代目の660ccエンジン搭載以降のモデルだ。趣味としてサンデーレースやチューニングを楽しむ層がおもしろがっていたのはもちろん、ダートトライアルやラリーなどでも活躍していた。

「アルト ターボ RS」発売のアナウンスに、そんな「アルトワークス」を連想せずにいられなかったわけだが、実際にはもっと気軽で現実的なモデルになると予想している。「ワークス」の名も与えられていないし、外観が8代目「アルト」と基本的に共通であることも根拠のひとつだ。それでも小さな軽量ボディにターボエンジンが搭載されることには変わらず、勢いの良い加速や、ぐいぐいと登りきびきびと曲がる元気な走りを楽しめるはず。

軽スポーツは、趣味性の高いダイハツ「コペン」が昨年フルモデルチェンジし、ホンダ「S660」が今春発売予定と、にぎやかで喜ばしい限りだが、「アルト ターボ RS」は「アルト」ベースだけに、その価格面にも期待。誰もが手に入れやすい価格帯で、軽スポーツの楽しさを広く普及してくれるよう願っている。