GeForce GTX 980で優れたワットパフォーマンスを見せたNVIDIAの第2世代"Maxwell"。しかし、いかに優秀なGPUとはいえ、少なくとも7万円近い金額をグラフィックスカードに払うユーザーは限られており、ミドルレンジモデルの登場が待たれていた。そして1月、満を持して発売されたのが「GeForce GTX 960」だ。

第2世代Maxwell搭載ミドルレンジ・グラフィックスカード「NVIDIA GeForce GTX 960」

その第2世代Maxwell「GeForce GTX 960」を搭載したPCが、さっそくマウスコンピューターからも登場した。今回はその「MDV-GZ7550X」を紹介しよう。マウスコンピューターのラインナップでもメインストリームに位置する本機は、CPUに"Haswell Refresh"ことインテルCore i7-4790を搭載し、標準構成のストレージをHDDとしたコストパフォーマンスを重視したモデルとなる。ミドルレンジとして、まさにGeForce GTX 960との組み合わせを想定した製品だ。

マウスコンピューターの「MDV-GZ7550X」

CPUにはインテルCore i7-4790を採用。ターボ・ブースト機能利用時には最大4.0GHzまでクロックが上昇する

2~3万円台前半の新たなメインストリーム向けGPUの実力は、どのようなものだろうか。グラフィックスカードの性能を中心に見てみよう。

リファレンス同等の動作クロックとクーラーを採用したGeForce GTX 960

「MDV-GZ7550X」に搭載されているGeForce GTX 960は、GPUクーラーにリファレンス仕様と思われる外排気型の形状のものが取り付けられている。メーカーはMSIとなり、側面のロゴマークもグリーンの「GEFORCE GTX」ではなく、ホワイトの「msi GTX 960」だ。グラフィックスカードの全長は長く見えるが、裏側から見ると基板自体は短く、クーラーの一部が基板より外側に達していることがわかる。このGeForce GTX 960のポイントは、6pinのPCI-Express用補助電源1系統のみで動作する点にある。動作に必要な電源容量が減るのはもちろんのこと、低消費電力によって発熱量が下がれば、それだけいろいろなケースに搭載しやすくなる。また、5系統もの映像出力端子を搭載している点にも注目したい。ただし、現在主流となっているDVI、HDMIはそれぞれ1系統のみ。残りの3系統はDisplayPortとなる。マルチディスプレイ環境を考えているのであれば、DisplayPortを搭載したディスプレイを優先したほうが自由度が上がるだろう。

リファレンスモデルと同形状のGPUクーラーを搭載したGeForce GTX 960。GPUの熱をストレートにケース外へと排気する

GeForce GTX 960背面の様子。基板自体は短く、クーラーの形状によりグラフィックスカードの全長が伸びている

側面からGeForce GTX 960を見ると、6pinのPCI-Express用補助電源1系統のみで動作することがわかる

「GPU-Z」にて確認したGeForce GTX 960。動作クロックもほぼリファレンスと同じ1127MHzだ

3DMarkでグラフィックス処理能力と消費電力を測る

それでは、各種ベンチマークテストにてGeForce GTX 960を搭載した「MDV-GZ7550X」の実力を探っていこう。まずはFuturemarkの定番ベンチマーク「3DMark」だ。3Dゲーム向けのFire Strikeを、ノーマルバージョンからUltraまで順番に試した。結果は以下の通り、前世代のワンランク上のモデルであるGeForce GTX 770と互角に渡り合えるスコアを見せてくれた。Fire Strike ExtremeおよびUltraではさすがに厳しいが、まずはミドルレンジモデルとしての実力を確認できた。

Futuremark 3DMARK
項目 Fire Strike
1.1
Fire Strike
Extreme 1.1
Fire Strike
Ultra 1.1
3DMark Score 6632 3422 1356
Graphics Score 7652 3560 1242
Physics Score 10729 10799 10781
Combined Score 2658 1479 837
Graphics Test 1 36.13 fps 18.33 fps 8.97 fps
Graphics Test 2 30.16 fps 13.39 fps 3.86 fps
Physics Test 34.06 fps 34.28 fps 34.23 fps
Combined Test 12.37 fps 6.88 fps 3.90 fps

注目の消費電力はといえば、こちらは期待以上の結果だ。搭載すれば"ゲーミングモデル"を名乗ってもいいであろう性能を備えながらも、消費電力は最高でもわずか206W。この結果ならば電源容量が少なくても動作するし、GPUの発熱も当然低いはずだ。消費電力やGPUの発熱を重視するゲーマーにとっては、貴重なGPUとなるだろう。

消費電力の調査結果
最低【Windows 8.1 アイドル時】 46W
最高【3DMark実行時】 206W

有名RPGのベンチマークテストでGPUの実力をチェック

ここからはゲームのベンチマークテストを試していこう。まずは、今冬話題の本格RPG「Dragon Age: Inquisition」のベンチマークテストだ。最新タイトルだけに、高い負荷が予想される。今回は1280×720、1920×1080、2560×1440、それぞれの解像度で中品質、高品質、最高品質をテストした。結果としては、グラフィックス設定を上げると少々厳しい結果となった。上位モデルと違い、ビデオメモリは2GBでバス幅も狭いため、高解像度やテクスチャ容量が増えると対応できる範囲からあふれてしまう印象だ。ただし中品質設定なら2560×1440でも平均60FPS以上を出しており、現実的な環境と設定で楽しむならば、かなりの潜在能力を秘めていることがわかる。

Dragon Age: Inquisitionベンチマークテスト
設定 最小フレームレート 平均フレームレート
1280×720【中品質】 120.1 152.8
1280×720【高品質】 76.8 91.3
1280×720【最高品質】 54.7 64.0
1920×1080【中品質】 89.6 102.6
1920×1080【高品質】 48.6 55.4
1920×1080【最高品質】 28.2 36.1
2560×1440【中品質】 56.2 66.1
2560×1440【高品質】 29.5 33.7
2560×1440【最高品質】 16.7 21.8

続いて、アクションRPG「Middle-Earth: Shadow of Mordor」(シャドウ・オブ・モルドール)のベンチマークを動かしてみよう。こちらは設定を上げるに従って、ビデオメモリがどんどん必要になっていくタイトルだが、1920×1080のVeryHighで動作させても平均FPSは60を超えることができた。解像度を欲張らなければ、きびきびと動いてくれるのがGeForce GTX 960だ。

Middle-Earth: Shadow of Mordorベンチマークテスト
設定 最小FPS 最大FPS 平均FPS
1280×720【High】 62.56 165.82 105.45
1280×720【VeryHigh】 65.49 158.63 97.82
1920×1080【High】 49.12 97.87 67.12
1920×1080【VeryHigh】 45.87 96.21 62.80
2560×1440【High】 33.93 59.01 44.38
2560×1440【VeryHigh】 32.53 56.18 41.65

国産タイトルも試してみることにしよう。今回は「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」および「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」を試すことにした。「ドラゴンクエストX」はCPU内蔵グラフィックスでも十分遊べるタイトルではあるが、念のため違いを確認しておきたい。「ファイナルファンタジーXIV」では1920×1080まで"非常に快適"という結果が得られた。残念ながら2560×1440では評価が落ちてしまったが、それでも"とても快適"で遊ぶぶんには余裕だろう。「ドラゴンクエストX」はフルHDまでのテストだが、余裕で"すごく快適"なスコアを実現できた。

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
設定 スコア 評価
1280×720【高品質(デスクトップPC)】 17596 非常に快適
1920×1080【高品質(デスクトップPC)】 10028 非常に快適
2560×1440【高品質(デスクトップPC)】 6241 とても快適
1280×720【最高品質】 16578 非常に快適
1920×1080【最高品質】 9817 非常に快適
2560×1440【最高品質】 6132 とても快適
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.10
設定 スコア 評価
1280×720【最高品質】 18193 すごく快適
1920×1080【最高品質】 17916 すごく快適