メモはすべてタブレットで済ませているという人でも、Moleskineの手帳は持っているということがある。文豪ヘミングウェイなど偉人が携帯していたエピソードを持つMoleskineは、クリエイティブ性やセンスの良さの代名詞となっている。

デジタル時代のいまでも欲しい・持ちたいと思わせる魅力はどこにあるのだろうか? The Next Webが「Moleskineから学ぶ製品とブランドのコラボレーションの10のポイント(原題:10 product design and brand collaboration tips from Moleskine)」として、Moleskineのブランドマネージャーに聞いた話をまとめている。

Moleskineが推される6つのポイント

Moleskineが「復活」したのは1997年、だがオリジナルは19世紀後半にさかのぼり、実に長い歴史を持つノートブランドだ。The Next Webの記事は、そのMoleskineでブランド戦略を統括するFabio Di Liberto氏に聞いた話をベースとしており、製品設計に共通するポイントを挙げている。以下に見てみよう。

ユーザー中心

Moleskineは有名な黒のポケットサイズの手帳のほか、Disney、LEGO、StarWars、あるいはEvernoteとのコラボなどさまざまな種類がある。

サイズや色もさまざまなものが出ており、見ているだけでもクリエイティブになった気分を味わえる。だが、コラボを通じたスペシャル版や通常のノートと、すべての製品開発で、たった1つのことだけにフォーカスしているという。

それは"顧客"だ。

その手帳が使う人をどのように支援できるのか、役立つのかについて深く考える。Liberto氏によると「ノートが持つキャラクターとストーリー」と述べてるなどを常に考えているのだという。

カスタマーリサーチ

使う人にハッピーになってもらいたいと思っているからこそ、カスタマーリサーチは周到に。

想定ユーザーはどのようなものを好むのかを模索するにあたって、Moleskineでは専属チームが社内外のリサーチを基に色や素材などを試しているのだという。

リサーチは"保証"するものではない

だが、リサーチ主導になるのはよくないようだ。リサーチの結果や内容はあくまでも「可能性」や「潜在性」としてみているのだという。

そのため、デザインの中には成功とはいえないものもあるとか。だが、Moleskineはそのような失敗を「探索の一部」としてみているという。

統一のアイディアをもつ

Moleskineは製品を通じて自分たちらしさを追求しているという。

さまざまな製品を統一するアイディアが重要で、Moleskineの場合は、作ること、完成するまでの過程こそが素晴らしいと考えており、これを自社製品に適用しているとLiberto氏は説明している。

それが、どの手帳でもMoleskineとわかる一貫性につながっているのだろう。さまざまな製品を統一するような共通の考えを組み立て、これを適用することがブランド強化につながりそうだ。

このようなアイディアを表現するのに、時にはメタファーを利用する手もあるという。

良い例が、LEGOとコラボした限定シリーズ「LEGO Limited Edition Notebooks」だ。ここでMoleskineは、有名なLEGOブロックとキャラクターを利用した。

ブロックを作り上げるLEGOとMoleskineのノートに「類似性」を感じたからという。「ノートそのものにとっても、ブロックはよいメタファーだ」とLiberto氏は述べている。

常に実験を

コアのコンセプトと統一したアイディアをもちながらも、実験を続けるのがMoleskineのすごいところだろう。

色やカバーを付け加えながら、もっとよく構想を表現できないか、訴求できないかと実験を続けているとのこと。

「素晴らしいデザインコンセプトを持つことはゴールではなく、新しい進展への最初のステップとなる」とまとめている。

世界をもっとよくする

Moleskineはコンセプトやアイディアに合わせて、1つのミッションをモチベーションにしているという。

真っ白なページから生み出すアイディアやスケッチが最終的に世界をもっとよくすることになるというものだ。

これは、ビジョンともいえるもので、これがMoleskineの強みになっているのかもしれない。