2015年の年頭にあたり、日本オラクルの取締役 代表執行役社長 兼 CEOを務める杉原博茂氏は、以下の年頭所感を発表した。

「Do, Big, Different ~デジタル・ディスラプションの時代を勝ち抜くために~」

新年明けましておめでとうございます。2014年、日本の企業業績はリーマンショック前の水準に回復し、製造業を中心に新たな成長の兆しが感じられた一年でした。また、製造業のみならず、サービス関連企業をはじめとする内需型企業が、M&A等により海外進出を加速した一年でもありました。国内では、熾烈なコスト競争環境の下、生産性の向上や成長分野への事業進出が急務とされています。従来のビジネスモデルから未来志向のビジネスモデルへの転換が生き残りの鍵となり、変化・進化することが必須であります。2015年、日本オラクルは、こうした企業の前向きな姿勢を後押しできるよう、クラウドによる変革を推進してまいります。

例えば、少子高齢化は日本にとって大きな課題です。2020年には現在より300万人ほど人口が減少し、内需は停滞するでしょう。ビジネスを成長・加速させたいという思惑とは裏腹に、生産人口の減少による人材不足を避けて通ることはできません。海外事業展開の成否が、日本企業の命運に多大な影響を及ぼすでしょう。また、人手だけに頼るのではなく、革新的なITの活用によって生産性を大きく向上し、人々のより豊かな生活を実現することが求められています。

世界は今「デジタル・ディスラプション(Digital Disruption)」による新産業革命の時代を迎えています。第一次産業革命(蒸気機関)の時代から、電気や自動車の出現による第二次産業革命、そして、現代では、第三次・四次産業革命の大きな潮流が日本へも押し寄せています。Digital Disruption とはまさにデジタル・IT技術による旧から新への変革の流れであり、Disruptionとは、日本語で混乱・決裂などの意味をもちます。革新的なまったく新しいビジネスモデルが従来のビジネスモデルに取って代わる時代でもあります。人間の労力・経験・勘でなされていた農業等は、センサーやIT・デジタル・ビッグデータ技術により圧倒的な生産性向上を実現しています。今や、すべての社会や産業・コミュニティにも大きな変革の波が押し寄せています。

2012年には90億台だったインターネット端末は、2020年には200億台になるといわれています。2020年の情報データ量は2014年の50倍、モバイル端末の加入者数も60億人になり、地球上のおよそ9割の人が何らかの形でクラウドに繋がるようになります。SNSによる個人から個人への情報伝達速度はかつてないスピードで増加し、その伝搬力は計り知れないものとなっています。

販売もしくは購買活動の約50%はモバイル端末経由で行われるようになることが予測され、そしてこのようなデジタル時代に膨大に出回った端末は、インターネットを介してクラウドにつながり、高度な情報処理はすべてクラウド上で実行されます。2020年にはすべての電子化されたデータの約3分の1はクラウド上にあるだろうとも言われています。そしてその先には、人の意思が介在せず、インターネットに接続した端末同士が自動的に連携、通信、処理を行ってくれる環境、すなわち「Internet of Things」の時代がやってきます。

膨大な情報がインターネット上でやりとりされ、すべての物と人がインターネットにつながる便利さを我々は享受します。その一方、セキュリティや安定性などをより高いレベルで実現することが求められます。オラクルは、ミッション・クリティカルなIT分野でセキュリティ、安定性、高可用性を実現してきた実績があります。このノウハウと技術力によって、「Digital Disruption」の基盤を支えてまいります。

2014年秋に開催された「Oracle OpenWorld San Francisco」では、取締役会経営執行役会長 兼 CTOのラリー・エリソンが、「2014年はオラクルがクラウドでNo.1になるための、オラクルにとって大きな節目の年となる」と宣言しました。日本オラクルにおいても、2020年の東京オリンピックまでに「No.1 クラウド・カンパニー」になることを目標とする「VISION2020」を掲げています。2015年は、「No.1 クラウド・カンパニー」になることを目指した具体的な施策を着実に進め、足場を固めてさらなる成長を成し遂げてまいります。

パブリック・クラウドの領域では、Customer Experience・Human Capital Management・ERP・Enterprise Performance Management業務を支援する、594種類のSaaSアプリケーションをオラクルは提供しています。これだけの幅広い業務領域を網羅して、サービスを提供できる企業は、他に類を見ません。また、新たにPaaSとして、「Oracle Database Cloud Services」や「Oracle Java Cloud Services」を発表しており、これらを日本でも迅速に展開してまいります。

プライベート・クラウドの領域では、マルチテナント機能や最先端のインメモリー・テクノロジーを提供する、最新データベース製品群をはじめ、「ハードウェアとソフトウェアの融合」の結晶であるエンジニアド・システムズや新機軸のサーバー・ストレージ等、オラクルの幅広い製品やソリューションが、今後もお客様の多種多様なIT基盤・クラウド環境を支えてまいります。そして、その実現にむけたGo to Market 強化策として、キーアカウントのさらなる強化とパートナー・エコシステムの強化連携、そして地域カバレッジの拡大を展開していきます。

「Digital Disruption」の時代に求められるものは「変化」です。これまでのビジネスに固執して立ち止まっていたり、その延長線で小さな変化を試みたりするだけでは、「Digital Disruption」の大きな波に簡単に飲み込まれてしまいます。2015年のキーワードは「Do, Big, Different」です。日本オラクルはお陰様で、今年の10月に設立30周年を迎えます。これまで日本のお客様に支えられて培ってきた経験やノウハウ、そして大きな「変化」に立ち向かうための革新的な技術力を武器に、今年も日本オラクルは、お客様のビジネスの伸長に貢献してまいる所存です。

本年も引き続き、日本オラクルにご注目のほどよろしくお願い申し上げます。