AKB48の姉妹ユニット・NMB48や、"天使すぎる"橋本環奈擁するRev. from DVLなどを手掛け、アイドル色が強くなっている吉本興業グループ。昨年12月1日には、スカパー!(CS放送)にアイドル専門チャンネル「Kawaiian TV」を開局させ、本社を置く沖縄を拠点に、アイドルの発掘育成、国内・アジアに向けての発信を行っていくと宣言した。

このたび、カワイイアン・ティービー代表取締役社長中井秀範氏に、同チャンネルが目指す方向などをインタビュー。そして、明石家さんまやダウンタウンらのマネージャーを歴任した後、吉本新喜劇プロジェクト、吉本総合芸能学院(NSC)の開設に携わり、よしもとファンダンゴ代表取締役社長、吉本音楽出版代表取締役社長などを歴任してきた中井氏が考える、吉本興業におけるアイドル事業の未来を聞いた。

アイドル専門チャンネル「Kawaiian TV」の社長に就任した中井秀範氏

――『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の人気コーナー「七変化」のFUJIWARA・藤本編に出演されたシーンを拝見しました!
あはははっ!! そうですそいつです!! 芸人よりしゃべりがうまいと言われた、そんなやつです(笑)

――今回、社長としてアイドル専門チャンネル「Kawaiian TV」を任されることになりましたが、どのようなチャンネルにしていきたいと考えていますか?

このチャンネルからスターを作りたいですね。「Kawaiian TV」出身のアイドル、スターが生まれてくれたらうれしい。既存のアイドルも、今までとは違う姿が見せられたらと思っています。

――近年、NMB48やRev. from DVLなど、さまざまなアイドルを手掛けられ、吉本興業グループにおけるアイドルのイメージが強くなっているような印象がありますが、どう感じてますか?

吉本興業という会社ができて100年以上たちますが、明治時代や大正時代には、"安来節(やすぎぶし)"という島根県の民謡を吉本が流行らせ、歌う女の子や踊り子を目当てに、多くのファンが詰めかけていました。だから実は、吉本は昔からアイドルを手掛けていたんです。そして、最近の芸能界は、アイドルもお笑いをやるようになっているので、アイドルかくあるべきとか、お笑いはお笑いで、というのではなくなっている。今のアイドルは器用にバラエティもこなすし、それができる子が売れているっていうのもあると思います。

――ジャンルは関係なくなっているということですね。お笑い界を牽引する吉本興業がアイドルを手掛ける強みとは?

違う切り口、アプローチができることなんじゃないですかね。僕らはもともとスタイルがないので、いわゆる今までのアイドルの売り出し方とは違うやり方ができるのかなと。そして、お笑いとアイドルは水と油というわけではないので、すでにやっていますが自然な形で新しいタイプのエンターテインメントにしていきたいです。

――「Kawaiian TV」で社長がアイドルに期待することを教えてください。

彼女たちは、すでに地上波で活躍していますが、テレビ局や制作会社の企画に乗っかってというのが基本です。「Kawaiian TV」でもディレクターやプロデューサーは付きますが、彼女たちが自分たちでどこまで遊べるというのが注目だと思っています。

――看板番組『Kawaiian くらびぃー!』(毎週月~金曜18:00~20:00)では、NMB48、Rev. from DVL、GALETTe、SO.ON projectが日替わりMCとして、番組を作り上げるわけですね。

地上波メディアで2時間まるまる自分たちで使える時間なんて、そうそうないですよね。じゃ、こっちでどんなものを出してくれるのっていう感じですよね。ディレクターたちも、企画の考え方がまったく変わります。30分番組の5分コーナーをNMB48の2人でどうロケしようというのと、さぁ2時間彼女たちをスタジオに入れて何をさせようというのとで、変わります。プロデューサー、ディレクター、本人たちでどういうものを生み出せるかということですね。

――今回、カワイイアン・ティービー本社を沖縄県宜野湾市に構えました。また、2009年より毎年沖縄で「沖縄国際映画祭」を開催し、2015年3月には沖縄に常設劇場とお化け屋敷もオープン。吉本興業が沖縄にこだわる理由は何でしょうか?

1つは地理的な理由。全日空の貨物基地が沖縄にあり、沖縄からだとアジア主要都市に4時間以内に届く、つまり当日配達ができるんです。そして、いろんな文化を受容し、かみ砕いて自分たちの文化にしてきたという歴史もあると思います。また、沖縄県の全国に対する人口比と、芸能界における沖縄出身者ってだいぶ違うんです。沖縄出身の芸能人って多いですよね。ですので、文化的な背景、地理的な有利さ、芸能人を輩出しているということが、沖縄の魅力かと。あと、沖縄の人って、集まって宴会するとだれか三線を弾けるじゃないですか。大阪で宴会してもそうはならないですけど。芸能みたいなものが、すごく身近にあるんでしょうね。

――アジアを意識されていますが、アジアの先に世界を見据えているのでしょうか? それともアジアを重要視しているのでしょうか?

特にアジアを重要視しています。人口もそうですし、経済成長にしてもそうですし、これからどんどん成長していく市場だと思っています。欧米はエンターテインメント自体も成熟市場というのがあるので。「Kawaiian TV」という名前にしたのも、アジアのどこの国の人たちも"カワイイ"という言葉がわかるので、そういう名前にしたんです。この名前なら、なんとなく何やっているのか伝わるでしょう!