風邪とは異なり全身に症状がおよび、最悪の場合は死に至るケースもあるインフルエンザ。だが、ワクチンが効かないような新型インフルエンザは別として、毎年発生する季節性のインフルエンザにはさまざまな予防策がある。

ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんにインフルエンザ対策について伺ったので、まずは今日から実践できる簡単なものから紹介しよう。

予防策の基本は手洗い、うがいにあり

対策1 手洗い、うがいをしっかり行う

手洗いは石けんを使って、爪の間などまで丁寧に洗うように心がけよう。洗い終えたら流水でしっかり洗い流し、清潔なタオルで水をふき取ることもポイントだ。うがいには、口の中やのどについた微生物を洗い流す効果が期待できる。帰宅時に行うよう習慣づけるなど、自分なりのルールを決めて実践するとよいだろう。

対策2 50~60%の湿度を保つ

ウイルスは一般的に低温で乾燥した空気を好む上、乾燥はのどの防御性能を弱めてしまうため、インフルエンザに感染しやすくなってしまう。加湿器などを有効活用して、常に50%~60%の湿度を保つように心がけよう。

対策3 人ごみを避ける

インフルエンザの流行期は、繁華街や混雑している駅などの人ごみをできるだけ避けることも大切。インフルエンザウイルスは、くしゃみ1回で3~5メートルも飛散するからだ。飛散のことを考えれば、なるべくたくさんの人がいる場所は避けたほうがよい。どうしても人の多い場所に行かなければならない場合は、使い捨ての不織布マスクを着用するなどの工夫をした方がよい。

予防策をしっかりしておけば、インフルエンザウイルスに感染する可能性を低くすることが可能だ

この他にも、「栄養のある食事を摂(と)る」「しっかりと休む」なども予防策につながる。このように、ちょっとした心がけで罹患(りかん)リスクは低減できる。インフルエンザ予防には、毎日の積み重ねが大切という認識を持とう。

ワクチンはインフルエンザ予防の万能薬ではない

インフルエンザを防ぐには、ワクチンによる予防接種も有効策の一つだ。予防接種は保険適用外となり、病院によって料金も異なる。自治体や健康保険組合によっては補助が出る場合があるが、1回の接種は5,000円以内の支払いとなるケースが多いようだ。

ただ、接種すれば100%罹患しないというわけではない。山岸さんは「感染しても『発症したり、重症化しにくくなったりする』のが、予防接種の効果なのです」と警鐘を鳴らす。また、予防効果が期待できるのは接種後の2週間から5カ月ほどのため、毎年こまめに接種する必要がある。

「ワクチン接種をしても感染してしまうなら意味が無い」と思う人もいるかもしれない。だが、インフルエンザは高熱や関節の痛み、だるさなどの全身症状がひどくなることもあり、体力の無い子どもや高齢者においては重篤な症状が出てしまう危険性も考えられる。それを鑑みると、発症が抑えられたり、症状が軽く済んだりすることが期待できるワクチンは、接種しておくにこしたことはないと言えよう。

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取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん

ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。