日経BPコンサルティング12月19日、「携帯電話・スマートフォン"法人利用"実態調査2015」を行い、その結果を発表した。

調査によると、2015年のモバイル・ソリューションへの投資に関する重点投資分野の1位は「クラウドサービス」、次いで「タブレット端末」という結果となった。タブレット端末は、昨年の調査でも伸びが大きく、引き続き企業の投資意欲が高いテーマとなった。

また、今回から新たに追加した「ビッグデータ活用」への投資も拡大傾向にある。ビッグデータ活用は、2015年の投資意欲の前年比伸びが2014年の伸びより大きく、取り組みを強化すべきテーマと考えられている。

モバイル・ソリューションに関する投資の注力度

今後主流となるモバイルデータ通信は、「タブレット端末」という回答が多かった。タブレット端末を選択した企業は45.7%で、昨年の52.1%からは減少したが、引き続き高い比率を占めている。2015年も企業におけるタブレット端末の需要は高まる見込みだ。

スマートフォンと回答した企業は23.7%で、昨年の22.0%から1.7ポイント拡大。ノートパソコンが昨年の22.0%から5.7ポイント拡大して27.7%となった。Windowsアプリに対するニーズや、ノートパソコンの軽量化、ウルトラブックやタッチパネル搭載のタブレット端末にもなるタイプの登場により、利便性が増したことで利用意向が高まったと考えられる。

今後主流になるモバイルデータ通信

通信事業者への満足度はauが首位

通信事業者に対する満足度は、音声端末部門でKDDI(au)が1位。KDDIは、昨年NTTドコモに1位の座を譲ったものの、今回1.4ポイントの僅差で首位を奪還した。項目別に満足度を見ると、1位は「法人割引サービス」のみであるが、全体的にバランスのよい評価を得ている。

総合満足度以外は、NTTドコモが11項目中6項目で1位を獲得。具体的には、「通話エリア(屋内外の2項目)」「通話品質」「法人営業担当者の対応」「販売店・ショップ店員の対応」「アフターサービス・サポート体制」。

エリア/品質と法人営業担当を中心とした顧客対応での満足度は非常に高く、NTTドコモの強みは変わっていない。一方で、価格、料金面での満足度が他の通信事業者よりも低く、通話料金定額制などの効果が表われていない。

端末の満足度が大きく改善されたのがソフトバンクモバイル。総合満足度では、昨年から16.0ポイント上昇し、NTTドコモと並んだ。ソフトバンクモバイルは項目別に見ても総じてスコアが上がっており、特に「通話エリア(屋内外)」、「通話品質」は10ポイント以上上昇した。昨年に続き、エリア、通信品質などのネットワーク改善の取り組みが実を結んできたと思われる。

データ端末の総合満足度はソフトバンクモバイルが首位

続いて、データ端末の注目度を見ていこう。首位はソフトバンクモバイルで、前回調査から約10ポイント上昇。また個別の項目別評価においても「月々の利用料金」「法人割引サービス」「法人向けサービス/ソリューション」「端末(性能・機能等)」「法人営業担当の対応」「アフターサービス・サポート体制」の6項目で1位となった。

これらのうち「アフターサービス・サポート体制」以外の5項目は、スコアが10ポイント以上高くなった。また「データ通信速度の速さ」も約10ポイント上昇し、165Mbpsの高速モバイルWi-Fiルーターの提供などが満足度向上に貢献した可能性が高い。

法人主契約企業の通信事業者満足度

企業が負担する1人当たりの音声端末の月額負担料金は6,523円。昨年から約1,000円の大幅減少となり、新料金プランの影響が見られる結果となった。特にNTTドコモが昨年の8,367円から6,818円となり、1,549円の大幅な減少となった。

同社が2014年4月から提供を開始した「カケホーダイ」「ビジネスシェアパック」で利用料金が低下したと見られる。KDDIとソフトバンクモバイルも、NTTドコモに追随し同様のサービスを提供したことで、全体平均が1,000円規模で下がった。

携帯電話・スマートフォン“法人利用"実態調査2015は、2005年から開始し今回が10回目。企業へのアンケート調査とモバイル通信事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ワイモバイル)へのヒアリング調査を実施。

アンケート調査は、全上場企業と非上場の優良企業の合計5,000社の情報システム部門に調査票を郵送し、677社の情報システム部門、総務部門などから回答を得た(回収率:13.5%)。調査期間はアンケート調査が2014年11月4日~11月20日、ヒアリング調査が2014年11月25日~12月5日。

携帯電話/PHSの法人利用の実態と、今後3年間の企業の導入計画、さらに経年での比較も含めた法人利用・ニーズの変化を分析した。音声通信とデータ通信の両面で調査している。