スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「プロジェクトAra」についてです。

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「プロジェクトAra」は、Googleが推進するハードウェア規格です。Android端末を機能ごとにモジュール化し脱着可能な構成とすることで、自由に機能の入れ替えができることが最大の特徴です。カメラやディスプレイなど主要部分もモジュール化されるため、自分好みのオリジナル端末を作りあげることが可能です。

Araではモジュールの寸法が規格化されています。1辺が20ミリのモジュールは、エンドスケルトン(Endoskeleton、内骨格の意)と呼ばれるフレームパーツに装着され、共通の高速シリアルインターフェイス「UniPro」で接続されます。最新の仕様(v0.11)では、エンドスケルトンのサイズは大/中/小の3種類が用意され、大は91x164x9.7mmで装着できるモジュールの個数が横4×縦7、中は68x141x9.7mm/横3×縦6、小は45x118x9.7mm/横2×縦5とされています。

Araをスタートさせた理由としてGoogleは、新しい技術をより速くスマートフォンに採り入れるられることを挙げています。サードパーティーにモジュール開発キット(MDK)を公開することで、ハードウェアにおける自由で開かれたプラットフォームを提供し、モジュールマーケットを通じて販売することでエンドユーザの利便性も追求します。

エンドスケルトンを提供する企業がGoogleのみなこともポイントです。Googleは生産設備を持たないため、製造は他企業に委託しますが、設計はGoogleが管理します。これはプラットフォームの細分化を避けるためと考えられ、中核部分をGoogle1社で開発しているAndroid OSと同じです。表現を変えれば、Araは"Androidのハードウェア版"といえるでしょう。

もっとも、現時点でAraは商用段階ではなく、研究/開発段階という位置付けです。2015年1月には試作機第2弾が発表される予定ですが、エンドユーザが手にできるのはその先のこととなります。

パズルのようにパーツをつなぎあわせ自分好みのスマートフォンを作ることができる「Ara」というプロジェクトが進められています