ソニーのフルサイズミラーレス「α7」シリーズのニューフェイスとして「α7 II」が登場した。2013年に発売された「α7」からセンサーや画像処理エンジンを受け継ぎつつ、新たに5軸手ブレ補正機能を搭載したモデルだ。その機能や画質、使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

ソニー「α7 II」

まず注目したいのは、同社Eマウントの製品では初めてボディ内に手ブレ補正機構を内蔵したこと。これまでは手ブレ補正機能付きのレンズを使った場合のみ補正が可能だったが、本モデルでは手ブレ補正機能付きのレンズに限らず、自社および他社のさまざまなレンズで補正が可能になっている。

しかも、フルサイズセンサー用では世界初となる5軸手ブレ補正に対応する。5軸とは、一般的なレンズ内補正機構が採用する角度ブレ(ピッチ、ヨー)の補正に、シフトブレ(X軸、Y軸)と回転ブレ(ロール)の補正を加えたものだ。

【左】レンズマウント内側の大部分を占める大型フルサイズセンサーでありながら、ボディ内手ブレ補正を内蔵できたことに驚かされる 【右】単焦点の標準レンズを装着。ボディ内手ブレ補正は、レンズ側をシンプルかつ小型軽量に設計できるメリットがある

補正の効果は、シャッター速度最高4.5段分となる。編集部で行ったテストでは、単焦点の標準レンズ「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を使った場合、シャッター速度1/4秒では90%以上のカットをぶらさずに撮影できた。1/2秒まで下げるとややブレが生じやすくなるが、それでも半分弱のカットはぶれなかった。十分な効果があるといっていい。

なお、手ブレ補正機構を備えるレンズを装着した場合は、角度ブレの補正をレンズ側で、シフトブレと回転ブレの補正はボディ側でそれぞれ行われる。また、マウントアダプター経由でAマウントレンズを装着した場合は、ボディ側での5軸補正が作動する。

【左】撮影設定メニューの手ブレ補正画面では、入/切の切り換えのほか、焦点距離の指定などができる 【右】電気的接点による情報伝達ができないレンズの場合は、マニュアルを選んで焦点距離を指定することで、最適な補正が可能になる

【左】マウントアダプターを使ってAマウントレンズを装着した状態。超広角から超望遠まで豊富にそろったAマウントレンズでも5軸補正が機能する 【右】1/4秒の低速シャッターを手持ちで撮影。こうした薄暗いシーンをストロボや三脚を使わずに気軽に撮影できる利点は大きい