米Instagramは12月16日(現地時間)、撮影画像にかける「フィルタ」で新たに5つのフィルタを提供すると発表した。ほかにも、複数の新機能が提供されている。

新フィルタは「Slumber」と「Crema」「Ludwig」「Perpetua」「Aden」で、これまでの19種類と合わせて24種類の提供となる。なお、数が増えた対策として、フィルタの管理画面が新たに提供されており、お気に入りのフィルタのみ表示できるほか、並べ替えも可能になった。また、フィルタ加工のエフェクトプレビューがこれまでの「気球」から加工する写真そのものにも変更されている。

フィルタ機能は、Instagramのサービスロンチ時から提供されているが、「当時は今ほどスマートフォンのカメラ性能が良くなく、編集機能でどのように綺麗に見せるかに重きを置いていた」(Instagram広報担当者)のだという。

しかし、この4年でカメラ性能は大きく向上。コンパクトカメラ市場が大きく後退するなど、スマホカメラの立ち位置は大きく変わりつつある。

そのため、「今のカメラの性能に合わせ、『いかに綺麗に見せるか』よりも『より自然な表現』」を追求するために、この新たなフィルタが提供された。

もちろん、新フィルタはそれぞれに意味が込められている。例えば、「Slumber」は英語で「眠り」を意味しており、「夢の中にいるような印象のレトロな編集」ができることが特徴だ。続く「Crema」では、クリームのように優しいマイルドな世界観を演出するフィルタで、名前の通り「クリーム」がそのイメージだ。

Slumber

Crema

「Ludwig」は、余分な色を取り除いて、彩度を強化。これは、モダニズム建築を代表するドイツの建築家・ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ氏の名前に由来しているという。「Perpetua」は、大自然のような青緑がかかったトーンを表現できるフィルタで、米国オレゴン州のPerpetua岬の名に由来。また、最後の「Aden」は、パステル系のフィルタで、ポートレートに適しているという。

Ludwig

Perpetua

Aden

Instagramといえば、その簡単なフィルタリングが特徴だが、国によって使われやすいフィルタは異なるという。日本ではX-Pro IIやAmaroが人気だが、米国ではMayfairが人気となっている。

その他のアップデートでは、一部アイコンが変更されたほか、角度調整機能、写真についたリアルタイムのコメントが見られる「リアルタイムコメント機能」、スローモーション動画の編集・シェア機能がある。

これまで、画像の方向を変える角度調整機能は用意されていたものの、画角の変更はその他のアプリで行う必要があった。今回、Instagramにその機能が追加されたことで、「端に写り込んでしまった余計な電柱」などが手軽に消しやすくなる。

なぜ3億人まで伸びた?

先日、Instagramはアクティブユーザー数が3億人を突破し、Twitterを超えたと言われた。2013年2月の1億人から急成長を見せているが、理由はどこにあるのだろうか。

Facebook子会社化が理由かと尋ねたところ、日本の広報担当者は「Facebookとはアプリも異なるし、ユーザーの方も『傘下になったから使おう』という意識はないと思う」と語る。

「Facebook傘下に入ったシナジー効果はあります。スパムアカウントの排除技術の共有により、健全なエコシステムの構築ができたり、組織としての成長戦略の知見共有、人材交流といったところです。

しかし、マクロの流れとして、写真を撮影してシェアするというグローバルで受け入れられる文化が、スマートフォンの性能向上とともにタイミングよく乗れたということもひとつの理由だと思います。

Instagramがロンチされた時、すでに写真共有サービスや編集アプリはありましたが、Instagramでしかできない編集+世界観をシェアできること、そして、いかにシンプルで使いやすくそれらの操作を完結できるかにフォーカスしているというところも魅力として受け入れていただいたと思います」

Instameetという文化

Instagramには「Instameet」という文化がある。特定のハッシュタグや場所などに興味・関心を持つユーザーたちが自然と集まって、一緒に写真を撮り、時間を共有するという文化だ。

世界各国で多くのInstameetが催されており、100人規模で集まることも珍しくないという。しかも、このInstameetは「ユーザーイベント」としてInstagramが開催するのではなく、ユーザーたちが自然と集まるというところが大きな要素だ。

「(大規模なInstameetをInstagramとして開催しないのか?との問いに)Instameetは、オーガニックに始まったイベントです。ユーザーの『こういう人と写真を撮影したい』という思いが結実したものなので、オーガニックがベストであり、それ以上のものはないと思います。うちはあくまで"共有プラットフォーム"ですから」

もちろん、こういった"世界観"を共有できるという魅力を活かそうという動きはある。それが芸能人やブランドを打ち出したい企業だ。

「(芸能人も多くInstagramを利用されていますねとの問に)確かに多くの方にご利用いただいています。写真を撮影して、シンプルに上げられる。フィルタをかけなければ数ステップで簡単に投稿でき、自分の世界観や好きなことを瞬時に伝えられるメリットが有る。そうした発信をしたい方々に好まれているというのは嬉しいですし、もし『使い勝手が悪かったら』ここまで使っていただくことは難しかったと思います。

企業では、一部のファッションブランドがショーなどで利用を進めています。それは自社発信ではなく、インスタグラマー(Instagramでクリエイティビティをもった写真を投稿する人たち)の方々を呼んで好きに撮影してもらうという新しい情報発信の方たちです。

これまでは、一部メディアだけ呼んで、自分たちが伝えたい情報だけを届けたいというブランドが多かったのですが、他者の目線から見たブランドの形を発信していきたいという意図が見えました」

広告展開は?

企業のInstagram活用では、やはり広告が視野に入ってくる。米国では昨年末に試験運用がスタートした広告だが、オーストラリアやイギリスでもこの秋から試験運用が始まった。

日本も「有望な市場」(広報担当者)とのことで、そう遠くないうちに何らかのアナウンスがあるかもしれない。ネット上では、ブランディングのあり方をどう表現するかが課題といえるが、数少ないプレミアムな広告価値を生み出せる可能性のあるプラットフォームとして魅力に感じる企業も多いのではないだろうか。