Analog Devices(ADI)は12月3日、LTEやマルチキャリアGSM基地局の設計、防衛用電子機器システム、RFテスト装置、その他の最新のワイドバンドRF GSPSデータアクイジションシグナルチェーン向けのクロック要件に対応するJESD204BクロックIC「AD9528」およびSYSREFジェネレータを発表した。

現在、高速コンバータとデジタルプロセッサとのインタフェースに対するデータレートが数Gb/s領域におよぶにつれ、JESD204B規格はこれまで以上に多くの最先端のアプリケーションで採用されるようになっている。高速化することにより、システムにおけるマルチチャネル同期やデータレイテンシ管理も求められるようになっている。JESD204Bインタフェースは、ハイデータレートシステムの設計ニーズに対応するために特別に開発された規格であり、「AD9528」は同規格を強力にサポートするという。

具体的には、オンチップ2段PLLとVCOを内蔵し、低ジッタ性能かつ低消費電力のマルチ出力クロック配分機能を提供する。このオンチップVCOは、シングルエンドや差動動作が受け入れられるREF入力と発振器入力により、3.6GHz~4.0GHzの範囲でのチューニングが可能になる。また、JESD204B互換のサブクラス1 SYSREF信号とデターミニスティックレイテンシ(Deterministic Latency)のクロッキング信号を提供し、さまざまなSYSREF信号生成オプションをサポートする。このオプションには、シンプルなバッファ機能が含まれている。同機能により、ユーザーが提供するSYSREF信号をSYSREF出力ピンへ広げることができる。さらに、外部SYSREFソースがある場合でも、そのSYSREF出力と、内部で生成されるクロック出力との同期ができる。これは正確なデターミニスティックレイテンシを達成する上で不可欠な機能であるという。そして、内部SYSREFソース生成や連続信号のSYSREF生成、さらにnショットパルス生成もサポートしている。nショット生成は、連続信号がクロッキング中のデータコンバータの出力スペクトル中に、不要のスプールが発生する可能性のあるシステムにとって不可欠なものであるという。

この他、クリーンにされたシステムリファレンスクロックとVCXOを使用することで、1MHz~400MHzの範囲の12個の低ノイズ出力と、最高1.25GHzまでの2つの高速出力を生成する。出力クロックの周波数や位相は、分周器の位相選択機能を用いて、クロック出力間で変えることができる。同機能は、VCO出力による信号周期の半分ほどのインクリメントで、ジッタフリーのコース(Coarse)・タイミング調整としての機能を果たす。加えて、SYSREF信号には、それぞれ位相オフセット機能も組み込まれているので、容易に各ターゲット機器に最適な到達時間でのダイアルインが可能となっている。

なお、パッケージは72ピンLFCSP。価格は1000個受注時で8.25ドル。すでに、サンプルおよび量産出荷を開始している。また、評価ボード「AD9528/PCBZ」の価格は190.00ドルである。

JESD204BクロックIC「AD9528」