来年の公的年金の給付に際し、公的年金の支給額の伸びを、物価上昇率よりも低く抑えるマクロ経済スライドが実施される見通しとなりました。

マクロス経済スライドの制度は、平成16年の法改正時に制定された制度です。日本の年金制度は、世代間仕送りの仕組みであるため、少子高齢化が進む中、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、調整する仕組みです。

年金額は、賃金や物価が上昇すると増えていく仕組みになっています。たとえば40年前に退職し、現在年金を受給している90歳の方の現役時代の厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬額は、現在より低いと想像されますが、今受け取られる年金額は、現在価値に引きなおすことで、現在の物価水準に調整された年金額を受給されています。

今後、保険料の負担者である現役世代が減少する中、物価に連動して年金額を増加していくと、現役世代の負担率が、どんどん上昇してしまうため、物価や賃金額の伸びから、「スライド調整率」を差し引いて、年金額を改定していきます。来年は、物価の上昇率に対し、1.1%程度抑制する見通しです。

また、過去の物価下落時に年金額を据え置いたことで、特例水準(本来より高い年金額)を修正するため、2015年4月に0.5%分引き下げることが決まっています。

つまり、来年の年金額は、本来の物価上昇分から、1.6%低く抑えられることになります。現在の年金受給額は、現役世代の収入の約62%程度の水準となっていますが、今後所得水準の約50%程度の水準まで調整されていく見込みです。

本来は、月2000円年金額が上昇していくところを、1000円の上昇で我慢してもらう制度が、マクロ経済スライドの制度です。見た目は、今年より年金額は増えますが(名目年金額)物価上昇や消費税の増税がどうなるかによって、年金所得者の生活水準は大きな影響を受けることになります。(執筆者:渡邉 誠)