東京都・表参道のラットホールギャラリーでは、リアルタイム3D技術を駆使したプロジェクション作品などを紹介するジョン・ジェラードの個展「Sow Farm」を開催している。開催期間は2015年2月28日まで(月曜、12月27日~2015年1月5日は休廊)、開場時間は12:00~20:00。入場は無料。

「Sow Farm (near Libbey, Oklahoma) 2009」2009年 Courtesy of the artist and Thomas Dane Gallery, London

「Solar Reserve (Toponah, Nevada)」Installation view at Lincoln Center, New York City 2014年 Courtesy of the artist and Thomas Dane Gallery, London

同展は、本来は軍事用に開発され、現在では主にゲームなどに用いられているリアルタイム3DCGを駆使し、仮想世界を取り込んだ作品を制作するアーティスト、ジョン・ジェラードの日本初個展。大型のプロジェクション作品「Sow Farm (near Libbey, Oklahoma) 2009」と、映像ディスプレイ作品「Sunspot Drawing (Guantanamo City) 2012」を展示している。

先の「Sow Farm」は、大量の分娩に従事する雌豚が収容された、大規模ながら目に見えない、アメリカ中西部に実在する農畜産業体が描写されている。畜舎の周囲を360度ゆっくりと旋回するカメラは、24時間365日のサイクルで、畜舎のある風景を映し出しており、地理的に孤絶した場所で稼働している農畜産業の姿を、数千枚の写真からなるバーチャル3D映像に仕立てている。また、「Sunspot Drawing」は、キューバ・グアンタナモのとある道に夜明けから日暮れまで、作家自身が虫眼鏡を手持ちで掲げつづけているシミュレーション作品だ。

なお、ジョン・ジェラードは1974年アイルランド・ダブリン生まれのアーティスト。オックスフォード大学で美術・絵画の学士号を、シカゴ美術館付属美術大学で博士号を取得し、現在はウィーンとダブリンを行き来しながら制作を続けている。第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009年)での個展を含め、これまで国際的に展覧会が開催されている。