ヤンマーは、同社の建設機械のコンセプトモデルとして、「無人型バックホー」(小型ショベルカー)を発表した。

ヤンマーの建設機械のコンセプトモデル「無人型バックホー」が初お披露目された

「無人型バックホー」は、同社が昨年発表したコンセプトモデル「YT01」、ならびにそれを量産化した「YTシリーズ」と同様、フェラーリを手がけたことで知られる工業デザイナーであり、同社取締役である奥山清行氏がデザインした電動バックホー(小型ショベルカーの一種)。操縦者は同機には乗り込まず、遠隔地よりヘッドマウントディスプレイを装着して操縦を実施。機体に取り付けられたカメラからリアルタイムに送信される映像をもとに、作業を進めることができる。

「無人型バックホー」

奥山清行氏

大阪府・梅田の同社本社ビルにて19日に行われた発表会の中では、奥山氏自らがデモンストレーションの解説を担当。災害現場や歴史的建造物の内装分解など、作業者の立ち入りが困難な作業環境が多く存在していることを解説した上で、そのような場面で人命を守り、かつ作業を正確に行うために同機を開発しているのだと語った。

また、機体のデザインは近未来的な印象を与えるが、奥山氏によれば「(機体のデザインを)平面で構成しているのは、将来的に、鉄板や丈夫なコンポジット(複合材料)を溶接し、組み合わせて作ることを視野に入れている」ためと説明。そのほか、未来的なイメージを強調している青いLEDの光は、「(建造物など作業環境の)外部から見て、機体がどこにあるか分かるよう、機体の輪郭が分かりやすい場所に設置した」とコメントした。

発表会では、実際にオペレーターがヘッドマウントディスプレイを装着して同機を操縦するデモンストレーションが行われた

さらに、操縦者が見る映像にはAR(拡張現実)技術を活用しており、あらかじめPC上の図面を読み込むことで、地面の中に埋まっている配管や電線を可視化できる。そのほか、機体のアームは油圧で稼働し、先端部に取り付けられているバケットはいわゆるショベルカーとして一般的なものだが、今後パーツのバリエーションによって、さまざまな作業に対応することもできるよう開発を進めるという。

なお、同機は量産化を視野に入れて開発が進められているが、現段階では発売時期や価格は未定。奥山氏は「絵に描いた餅ではなく、未来の可能性としてご覧いただきたい」と語り、機体の内部を公開して、熱遮断シールドや装置が実際に入っている様を披露する一幕もあった。