東北大学は11月18日、体に貼ると微弱な電流が発生し、皮膚を通した薬の浸透が促進される「バイオ電流パッチ」を開発したと発表した。

同研究は同大学大学院光学研究科の西澤松彦 教授らによるもので、11月17日付け(現地時間)の国際科学誌「Advanced Healthcare Materials」のオンライン版に掲載された。

皮膚の表面から薬を投与する「経皮投薬」において、微弱電流を用いることで有効成分の浸透が数倍~数10倍に加速されることが確認されている。しかし、従来は給電のために配線などが必要であったり、有害物質や金属を含む電池を用いるため、パッチ化するにはサイズや健康面で課題があった。

開発された「バイオ電流パッチ」は、酵素によるバイオ発電の技術を利用し、電池を必要とせずに、ただ貼るだけで所定の微弱電流によって、薬の浸透を助けるというもの。環境に優しい有機材料のみで構成されており、使用後はそのままゴミ箱に捨てることができる。

出力は 6 時間以上持続するため、就寝時の利用も可能。ゴム製の内部抵抗を搭載するため、関節部でも使えるほど伸縮性がある。また、微弱電流で生じる皮下組織液の流れは、それ自体がマッサージ効果やシワ取り効果を有するなど、「バイオ電流パッチ」は経皮投薬に限らず、さまざまな目的で使用できるセルフケア商品としての普及が期待される。

「バイオ電流パッチ」の概要