『ウォーターボーイズ』(01)、『スウィングガールズ』(04)、『ハッピーフライト』(08)、『ロボジー』(12)など、数々のヒット作を手掛けた矢口史靖監督の最新作として、2014年5月に公開された『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』が、Blu-ray/DVDとなって11月19日に発売される。

『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』のBlu-ray/DVDが11月19日発売!

これまでユニークなテーマに目をつけ、日本中に笑いと感動を届けてきた矢口監督が今回選んだのは「林業」。監督自身、初となる原作の映画化となる本作は、三浦しをん氏のベストセラー小説『神去なあなあ日常』(徳間書店刊)をベースに、一人の若者の成長を軸に繰り広げられる爆笑と感動のストーリーが、矢口監督ならではの視点で描き出されている。

1年間の林業研修プログラムに参加する都会育ちのチャランポランな18歳・平野勇気役を染谷将太、緑の研修生のパンフレットの表紙の美女・石井直紀役を長澤まさみ、中村林業のエースであり、凶暴な先輩・飯田ヨキを伊藤英明がそれぞれ演じ、そのほか、優香、西田尚美、マキタスポーツ、有福正志、近藤芳正、光石研、柄本明といった豪華キャスト陣が集結した本作。そこで今回は、Blu-ray/DVDの発売を前に、矢口監督が語ったメッセージを紹介しよう。

矢口史靖監督が語る『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』

――最初に『WOOD JOB!』の原作である『神去なあなあ日常』を読んだときの感想はいかがでしたか?

矢口史靖監督

矢口史靖監督「今までも原作モノを映画化しないかという話をたくさんいただいていて、色々と読んできたんですけど、今回初めて、ちゃんとこの人と結婚したいと。原作が持つDNAと映画のDNAをあわせた子どもを作りたいと思いました」

――これまで監督自身、原作モノは扱わないと決めていたわけではないんですよね?

矢口監督「もちろん。良い原作があったら教えてくださいと、あちらこちらで触れ回っていたくらいです。なので、これまでも送って貰ったり、紹介されたりもしましたが、この人と添い遂げたい、と思わせるような原作に会うことがなかったんですよ」

――そんな監督に結婚したいと思わせた理由はどのあたりですか?

矢口監督「大きく理由は2つ。林業シーンが面白いということと、クライマックスのお祭りがとんでもない。この2点ですね」

――原作をベースに脚本を作る作業はいかかでしたか?

矢口監督「今までとやり方をまったく変えなかったので、とても楽しかったですね。時間をかけて現地取材をし、そこで働く人、生活している人たちに話を聞く。生の面白さを、思う存分脚本に込めるといういつも通りの作業です」

――あまり原作を意識しなかったということですか?

矢口監督「原作を読んで、面白いと思ったところを印象として頭にとどめた感じで、じゃあ実際はどんなところなんだろうと思って、すぐに神去村のモデルの場所へ取材に行っちゃったんです。それで9カ月くらい取材をしたんですけど、生の人たちの話なので、原作に出てこない話もたくさんでてくる。もう聞けば聞くほど面白くて、それをどんどん脚本に取り入れていった結果、出来上がった脚本を読むと、これはどこまで原作に忠実なんだろうかって(笑)。通常、原作モノを映画化する際は、原作者に脚本を読んでもらって許可をもらうんですけど、原作者にダメ出しされるなんて話もよく聞く。『こんな話じゃない』『このキャラクターはこんなことを言わない』『このシーンがないなんてありえない』。そういう暗礁に乗り上げ、脚本家が頭を抱えるとか、映画化がダメになるなんて話がときどきあったりするので、もし三浦しをんさんがそういう人だったらどうしようって、ちょっとドキドキしていたんですよ。そうしたら、全部OKなのでこのままやってくれという返事をいただいたので、太っ腹だなあって思いました(笑)。相当変えたような気がしますし」