デロイト トーマツ コンサルティング(デロイト トーマツ)は11月17日、燃料電池自動車(FCV)について、日本における2030年までの普及台数および経済波及効果について予測を発表した。

それによると、FCV年間販売台数は2020年に約5万台、2025年に約20万台、2030年には約40万台となり、経済波及効果はそれぞれ、約8千億円、約2.2兆円、約4.4兆円となるという。

国内FCV 年間販売台数予測および経済波及効果

2014年末以降、国内自動車メーカー各社より順次FCV量産モデルの発売開始が見込まれているが、同社は車両の量産における品質担保の観点や、水素ステーションの整備状況などを勘案した結果として、当面の各社生産台数は限定的なものとなると予想。年間販売台数が5万台に届く本格的な普及期に到達するのは、各社の第二世代以降のFCV発売が見込まれ、東京オリンピック・パラリンピックの開催にも当たる2020年前後と見んでいる。

ただし、市場本格化を実現するためには、各自動車メーカーには、社会のFCVに対する期待に応えるべく、第二世代の発売を可能な限り早期かつ大規模なものにしていくことが必要とされる。水素ステーションについても、2015年の設置目標100カ所に対し現時点での設置決定は42カ所に留まっている状況から、市場本格化に備えた整備を推進すると同時に、当面高額なFCVの初期需要を喚起し、FCV需要が限定される当面のステーション事業を支えるためには、政府および地方自治体による支援が不可欠としている。

また、将来のエネルギーセキュリティや環境対応といった効果を実現するためには、FCV以外の水素活用製品普及による水素需要の拡大、製造過程で二酸化炭素排出がない再生可能エネルギー由来のクリーンな水素の供給確保を、FCV市場本格化に向けた準備と並行して推進することが必要とであると指摘している。