ルネサス エレクトロニクスは11月6日、自動車の運転支援システム実現に向け、センサ・フュージョン、ゲートウェイ、シャシーシステム用途の40nmプロセス採用32ビットマイコン「RH850/P1xシリーズ」のハイエンド版となる「RH850/P1x-Cシリーズ」を製品化したと発表した。

同シリーズは「RH850/P1H-C」ならびに「RH850/P1M-C」の2グループが用意されており、いずれも自動運転システムが正常に機能しているかどうかを監視する「セーフティ機能」、外部からのハッキングなどに対する堅牢性を確保した「セキュリティ機能」、各種センサからの情報を収集・処理可能な「センサ機能」、複数の運転支援システムを協調制御する「ネットワーク機能」の4つのニーズに応える機能を1チップに搭載したオールインワンソリューション。「RH850/P1H-C」は高度な協調制御が求められるハイエンドならびに一般的な協調制御が求められるミドルレンジ向け、「RH850/P1M-C」が個別制御が行われるスタンダード向けという位置づけとなっている。

「RH850/P1H-C」ならびに「RH850/P1M-C」の概要。P1H-Cがミドルレンジ/ハイエンド向け、P1M-Cがスタンダードクラス向けという位置づけ

いずれもCPUにはRH850G3M(動作周波数240MHz)のデュアルロックステップ版を採用。RH850/P1H-Cには都合4コア(ロックステップ仕様のため、2コア1組で1CPUコアとして動作)、RH850/P1M-Cは都合2コア(ロックステップ仕様のため、実際は1コアとして動作)という構成となっており、Memory Protection Unit(MPU)やFPU、ハードウェア・セキュリティ・モジュール、最大8MBのフラッシュメモリなども搭載しながら0.9W(worst)の消費電力を実現しているという。

「RH850/P1H-C」ならびに「RH850/P1M-C」の機能ブロックによるイメージ

なお、2シリーズともに2015年2月よりサンプル出荷を、2016年9月より量産出荷をそれぞれ開始する予定で、2020年1月には月産200万個規模を計画しているという。また、サンプル価格はチップ単体が8000円、システム/ソフトウェアのデバッグ向けの専用エミュレーションデバイスが10万8000円としている。

実際にRH850/P1x-Cを用いた自動追尾デモ。一番先頭は普通のラジコンだが、後ろ2台がフロントにつけられたカメラからの情報を認識し、自動的に前のクルマの動きに合わせて一定の距離で追尾していく。ソフトウェアの開発は2-3人規模で約1カ月程度とのこと