テクトロニクス社は11月5日、IEEE 802.11xを中心とした無線通信技術に対するRF/ノイズ測定向けにUSB接続方式を採用したハンディタイプのリアルタイム・スペクトラムアナライザ(スペアナ)「RSA306型」を発表した。

同製品は、周波数測定範囲は9kHz~6.2GHzで、リアルタイム取り込み帯域幅は40MHz、捕捉可能な最小信号時間は100μsec、RF基本性能は表示平均ノイズレベル(DANL)-160dBm/Hz、1ppm周波数確度としており、リアルタイム信号処理能力は競合他社のスペアナに比べて少なくとも1000倍以上高速だとしている。

また、RFのフロントエンド部分だけを担っており、USB 3.0で接続されたPC側で信号解析やストレージ、分析、表示などを行う方式であり、重量も590gと小型・軽量を実現している。

使用するPCはUSB 3.0インタフェースが必須で、推奨スペックとしてはCPUは第4世代 Core i7、メモリ8GB OSはWindows 7/8(64ビット)で、本体購入者には17種類の基本的な測定機能を搭載したSignalVu-PCソフトウェアが無料で提供されるほか、9種類の機能追加オプションも提供される。

同社代表取締役の米山不器氏は、「日常、あらゆるシーンでワイヤレス通信機能が活用されるようになってきたが、低コストで無線ソリューションの実現が求められるようになってきており、そうした機器が設置された現場での電波干渉などを測定する必要もでてきた。そしてそうした計測ができるエンジニアを育成する教育というニーズもあり、RSA306型はそうしたニーズにこたえるために開発された」と開発の経緯を説明したほか、「従来の計測機器はPCと計測回路が一体化されており、我々としても開発においてPCやOSを取り回す必要があった。しかしRSA306型はPC部分を切り離せるので、得意分野である高速信号解析などのソフトウェアにリソースをシフトできることから、そこに注力した開発が可能となり、結果として従来は製品開発期間として3年必要であったものが、9カ月で実現できた」とし、今後もこうしたUSB接続タイプのプラットフォームを採用した計測機器の新製品を幅広い測定分野に向けて順次投入していくとした。

テクトロニクス社 代表取締役の米山不器氏。左写真で同氏が持っているのがRSA306型。右写真はRSA306型が接続され、実際にリアルタイムで計測を行っているタブレットPCの様子

なお、価格は本体が41万3000円(税別)でベクトル・シグナル・アナライザ・オプション「SignalVu-PC-SVE型Opt.SVM」、ならびにIEEE 802.11a/b/g/pオプション「同 Opt.SV23」、IEEE 802.11nオプション「同 Opt.SV24」(別途Opt.SV23が必要)、IEEE 802.11acオプション「同 Opt.SV25」(別途Opt.SV23/24が必要)がそれぞれ11万8000円(同)、地図へのマッピング用オプション「同 Opt.MAP」が29万8000円(同)となっているほか、ホイップアンテナが1万円強程度としている。また、PCとの接続用USB 3.0の予備ケーブルやRSA306型を持ち運ぶための肩掛けバッグなどもオプションとして提供するという。

RSA306型の外観および実際の測定波形の様子