千葉県・千葉市の幕張メッセで行なわれているJapan IT Week 秋(主催:リード エグジビジョン ジャパン)。住友電工システムソリューションブースでヤフーが「Yahoo! カーナビ」の展示を行なっていた。

Yahoo! カーナビは、住友電工システムソリューションのサーバーソフトウェア(TrafficVisionEngine)とスマートフォンナビエンジン(AgentNavi)を利用しており、同社の技術採用アプリとして展示。同アプリは現在7月の発表から3カ月間で170万ダウンロードを記録している。

今回展示を行なった理由はほかにもあり、現在はスマートフォン最適化アプリのみとなっている同アプリのタブレット最適化版や事故多発地点案内機能、ガリバーが提供するODB2機器「DRIVE+」との連携のデモンストレーションが行なわれていた。

タブレット版については、年内にAndroid向け、年明けにiPad向けというスケジュールで展開を行なう予定。また、iPad向けに関しては、UIの最適化は図られていないものの、解像度をiPadに最適化したプレ対応版のようなiPad向けYahoo! カーナビアプリが30日より提供されている。

タブレット版では、UIがスマートフォン向けとは異なり、横表示の時に左サイドにインターチェンジや交差点の名称が表示されるようになり、設置型のカーナビのようなユーザーインタフェースを実現する。開発を担当しているヤフーのシステム統括本部 マップイノベーションセンターでサービスマネージャーを務める兵藤 安昭氏によると、UIはNexus 7のサイズ感を想定しているとのことで、「9インチ台だと大きすぎてカーナビ用途には向かない。iPad miniやAndroid全般も7インチ前後の端末が多く出ているため、ここに会わせることが一番良いと考えた」としていた。

なお、タブレットと一般的なスマートフォンの中間サイズである"ファブレット"についても、現在対応を検討中だという。

「先日Googleが発表したNexus 6については最適化を図りたいなと考えています。ワイモバイルからも登場しますし。一方で、iPhone 6 Plusについては画面サイズが5.5インチとやや小さい。社内の基準で文字のサイズと全体の画面表示のバランスが難しいので、今後調整を重ねて、『6 Plus専用モード』といった形で出すのもありだと思います」(兵藤氏)

一方、事故多発地点案内機能では、交通事故総合分析センター ITARDAの情報を利用。1万2000カ所の事故多発地点を警告アイコンで表示する。将来的には、音声による事故多発地点の案内も検討しているというが、「都内などでは、少し進んだら事故多発地点に当たってしまうため、常時音声が流れ続けることになってしまいます。なので、事故件数などのデータからどの程度警告を行なうかについて検討していきたい」(兵藤氏)

3点目のDRIVE+連携では、ODB2機器と呼ばれる車両の情報をアウトプットする機器と繋げることで、スマートフォンに車両の情報を送れる。ガリバーがDRIVE+アプリを提供しており、ODB2機器からBluetoothでスマートフォンのアプリにデータを飛ばす。それを受けたDRIVE+アプリがYahoo! カーナビに連係という形でデータを渡している。現在は車速データのみで、例えばトンネルなどのGPSで位置情報を取得できない場合でも現在位置を捕捉できるようになっている。

ユーザーの声に耳を傾けて

アプリのリリースから、3カ月。ユーザーの声を受けて、徐々にアプリ改修も行っている。例えば、アプリのバックグラウンド音声案内。当初は対応していなかったものの、多くの声を受けて対応し、音声のみでも目的地案内を行えるように改修した。ほかにも、Android向けにはリリース時から対応していた横向きUIの対応をこの3カ月でiPhone向けにも対応させたほか、目的地の途中に経由地を設定して最短距離を検索する「経由地設定」機能も用意した。

地道な改良を進めるYahoo!カーナビアプリだが、今後はどのように進化していくのだろうか。

「マネタイズという意味では、広告展開がやはり重要だと思っています。例えば、ヤフーのアプリで言えば乗換案内が1000万ダウンロードを達成していますが、その規模にならないと広告は打ちづらいです。個人的な見解ですが、カーナビアプリで広告を考えるのであれば、バスのように「この近くではお得なセールを実施中です」といった音声広告とか面白いと思います。

ただ、問題があるとすれば位置情報。Yahoo!カーナビアプリでは、位置情報を取得していますが、ID連携が必要というところで不安に思われる方もいると思います。現在は、ユーザー数の取得のためにID連携を行なっていますが、位置情報は何も送っていません。総務省による個人情報利用の議論もありますし、今は何も考えていないのが実情です。

一番に考えているのはお客様に『気持ち悪い』と思われないようにすること。そこを大前提に、様々な展開を考えていきたいです」(兵藤氏)

タブレット版とスマートフォン版の比較。情報量が明らかに違うため、視線がぶれやすい車内では大きいタブレット版が役立つことだろう