デクセリアルズは10月29日、フラットパネルディスプレイのガラス基板にドライバICなどを接続するChip On Glass(COG)実装用途向けに「粒子整列型異方性導電膜(ACF)」を開発したと発表した。

COG実装においては、スマートフォンやタブレットなど、高精細なモバイル機器が増えてきたことで、さらなるファインピッチ化への要求が強く、導電粒子径を小さくし、粒子量を増やすことで小接続面積に対応してきた。しかし、ガラス基板のパネル端子間も同様に狭くなり、粒子量を増やしすぎるとショート発生リスクが高まるため、安易に増量できないことが課題だった。

同製品は、導電粒子を減らし、意図する位置に導電粒子を整列させたことで、ショート発生リスクを低く抑えたのに加え、安定した粒子捕捉性能を実現した。また、従来のACFでは加圧した際、バンプに捕捉されない粒子を端子間に逃がしやすくする流動性の高い樹脂をバインダに使っているのに対し、同製品では一旦整列させた粒子が動かないように流動を抑制する新しい樹脂を採用したことで、圧着時にほぼ粒子が動かず、ショート発生リスクを抑えた。なお、同製品は従来のボンディング設備でそのまま使用可能で、新たな設備投資の必要はないという。

今後、同製品が、COG実装用途向けに最小バンプ間隔10μmでのファインピッチ接続が可能になる次世代の接合材料として、スマートフォン、タブレットPCなどの高精細FPDとICチップとの確実なファインピッチ接続と接続信頼性の向上に貢献することが期待されるとコメントしている。

「粒子整列型ACF」の構造

従来型ACFと「粒子整列型ACF」の接続時の外観比較