日本ヒューレット・パッカード クラウドビジネス統括本部 統括本部長 春木菊則氏

日本ヒューレット・パッカードは10月28日、OpenStackの商用ディストリビューション「HP Helion OpenStack」を提供開始すると発表した。あわせて、プロフェッショナルサービス部門「HP Helion OpenStack Professional Services」の新設とサービスの提供開始を発表した。

同社は今年5月に、無償のディストリビューション「HP Helion OpenStack Community」を提供しており、同製品はこれに機能を拡張し、サポートを付加したものとなる。

「HP Helion OpenStack」の詳細については、クラウドビジネス統括本部 統括本部長の春木菊則氏が説明を行った。同氏は、同製品の特徴と価値について、「Helion OpenStackには、これまでのOpenStackの運用経験とノウハウが生かされているうえ、可用性や拡張性を高めるための機能が付加されているため、ユーザーは安心して、かつ手間をかけずに利用できる。また、10月にリリースされたばかりの最新バージョンであるJunoの機能を取り込むなど、先進的な機能を備えている。さらに、注目していただきたいのが価格。クラウドを利用するお客様はやはりコストを気にする。それに対する、われわれの回答がHelion OpenStackだ」と説明した。

同製品は物理サーバ単位のサブスクリプションで提供され、1物理サーバ当たり12万9000円からとなっている。

同氏は、OpenStackに対する同社の貢献と経験について、同社の社員がJunoのコードの21%を提供しており、2011年9月からOpenStackベースのパブリッククラウドを運用してきたことを紹介した。

また、顧客から同社のOpenStackディストリビューションが選ばれる理由については、「われわれは北米でOpenStackを3年間運用しており、バージョンアップを経験している。顧客にソリューションのアーキテクチャを示すと、OpenStackをわかっていることが理解してもらえる」と述べ、同社の経験が評価されていることをアピールした。

HP Helionのポートフォリオ

今回発表された製品群

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 テクノロジーコンサルティング事業統括兼Helionプロフェッショナルサービス統括本部長 有安健二氏

執行役員 テクノロジーコンサルティング事業統括兼Helionプロフェッショナルサービス統括本部長の有安健二氏からは、OpenStack関連のサービス部門の新設とサービス提供に関する説明がなされた。

有安氏は初めに、「OpenStackはイノベーションと言える。なぜなら、OpenStackによって、データ管理やネットワークなどのミドルウェア層のアーキテクチャが変わりつつあるからだ。また、OpenStackを軸に、M&Aが盛んになるなど、IT業界全体に大きな変革がもたらされている」と、OpenStackの存在意義について語った。

有安氏は、OpenStackを活用することは容易ではなく、技術者のサポートが不可欠だが、技術者が不足していると指摘する。同社でも今年5月から、技術者の採用を積極的に行っており、アジアパシフィックで数十名の技術者を確保しているという。

海外のデータセンターを利用するなど、クラウドサービスの展開はグローバルで行われるため、「HP Helion OpenStack Professional Services」の人員もグローバルを意識したものになっている。

「HP Helion プロフェッショナルサービス・プラクティス」は、OpenStackベースのクラウド基盤構築に向けたアセスメント、検証、導入、サービス立ち上げ、運用まですべてのフェーズにおいてサポートする。

HP Helion プロフェッショナルサービス・プラクティスの概要

有安氏は、同社のOpenStack関連のビジネスについて、「今年5月に無償のディストリビューションをリリースしてから、多くの引き合いがある。新規でクラウドサービスを立ち上げる場合、コストや機能の面から、有力な選択肢になるようだ。ビジネスにおいても、OpenStackは広がってきている」と、好調ぶりを披露した。