最近巷で注目を集める特殊な投資家たち、その名も「イナゴトレーダー」。イナゴ投資家とも呼ばれるようですが、元はと言えばネット上の匿名掲示板で造られた俗語でして、今では経済メディアの雄である日経新聞でも紹介されるほど知名度がアップしているようです。

そもそもイナゴトレーダーって何なの? という話ですが、シンプルに言うと、急騰する株にイナゴのように飛びつく個人投資家のことです。ある上場企業に関する情報が流れる、場合によっては理由なしの株価急騰。その流れにささっと飛びつき恩恵に与ろうというのが、イナゴトレーダーの狙いなわけです。

では、イナゴトレーダーが食いつくと株価はどんな動きをするのか、一例をご覧ください。


(日足チャート6月2日~10月24日)




このチャートは、ジャスダック上場の「構造計画研究所」(4748)のものです。9月16日に突如株価急騰、次の日にはストップ高の1984円で引けとなり、9月24日には3090円の高値を付けたのです。

興味深いのが、株価急騰の理由。実は、特に急騰すべき理由は何もなかったというのが実情でして、理由なき急騰にイナゴライダーたちが飛び乗り株価差益を狙い、イナゴライダー食いつき銘柄と化したわけですね。もしかしたら仕手(機関投資家などが仕掛けること)が入った可能性も否定できません。

直近高値をたたき出した9月24日以降、株価はどうなったでしょうか。チャートを見れば一目瞭然。急騰前とほぼ変わらない水準まで下落し、10月24日の終値は1605円となっています。

続いて、イナゴライダーが築いた上記の ‘イナゴタワー’ に似通った、もう一つの株価チャートをご覧ください。


(日足チャート6月2日~10月24日)




こちらは東証一部上場の「マネーパートナーズGP」(8732)の株価チャートとなります。9月2日に株価急騰が始まり、9月5日には522円の高値をつけました。10月24日の終値は375円となっており、株価はひとまず落ち着いているといった感じでしょうか。

このマネーパートナーズGPの株価を見ると、やはりイナゴライダーが群れたのか…と思うかもしれませんが、そうとは言い切れません。今回マネパ株が急騰した主な理由は、海外専用プリペイドカード「マネパカード」取扱いの発表です。今後、口座数増加と利用者数増加=利益増が期待できると考えられた結果の株価急騰だったわけです。

上述した構造計画研究所の株価急騰の理由と急騰後の株価の動きに大きな違いがあることから、断定はできませんが、マネーパートナーズGPの株価はファンダメンタルに基づいた正当な急騰だった可能性が高いようです。

そもそも株価というのは将来を見据えて動くと言われますから、マネーパートナーズGPの将来の期待値に対する株価上昇だったと考えるのが最も相応しいかと思われます。

要点は何でしょうか?

イナゴライダーが飛び乗る株は、急騰した後に株価が急騰前の水準までたいてい下落しています。それもそのはず、急騰する理由が確固たるものでない、或いは理由そのものが何も無いのです。ですから、株価急騰した時にすぐ飛び乗るのはリスクが高く、どちらかといえば投機的取引と言わざるを得ません

投機的な取引ではなく投資がしたいというならば、株価急騰した時の対処として、以下の点を実践してみて下さい。

◆まずは深呼吸して冷静になる
◆株価急騰の理由を徹底的に探る
◆対象企業のファンダメンタル分析を行なう
◆将来を見据えての株価上昇だと判断できるなら、買い時を探る
(※イナゴが群れた動きの可能性が高いなら手を出さない)

 急騰した株価を見ると、人の自然な心理として買いたくなります。しかし、先ずは冷静な情報収集と分析が必須です。もし、将来に向けて株価上昇となる条件をすべてクリアしているのなら、買い時を探り仕込みましょう。

買い時として一つ覚えておきたいのが、急騰した株価は一旦値を戻す時が必ずあります。値を戻して再上昇を確認できた時点が ‘買い時’ です

イナゴライダーの動きに乗じてチャンスをものにしたいという方がいるようですが、オススメはしません。投資はギャンブルではないのです。リスクを極力抑えつつ効果的な資産運用ができて、初めて一人前の投資家となれるのです。どうぞ肝に銘じておいて下さい。(執筆者:堀 聖人)