ルネサス エレクトロニクスは10月22日、自動車市場で今後成長が期待されるディスプレイ・オーディオとエントリモデル向け統合コックピットに対応するソリューション「R-Car E2/SoC」を製品化し、即日サンプル出荷を開始したと発表した。

ルネサスが提案する統合コックピットのコンセプト

同ソリューションは、エントリモデルに最適化した機能・性能の実現に向け、TSMCの28nm HPMプロセスを用いたデュアルコアのARM Cortex-A7とSH-4Aを搭載した2+1のCPU構成を採用。これにより、従来のエントリ向け製品「R-Car E1」に比べて約4倍の性能を実現した。具体的にはDhrystone MIPS(DMIPS)として前世代の上位製品R-Car M1と同程度の演算性能を実現したほか、グラフィクスもM1で採用していたImagination Technologies(IMG)のPowerVR SGX540を採用したとする。また、外部メモリとしてDDR3に対応したことで、16ビット接続の外部DDRメモリ1つでシステム要件を満たす性能を発揮することを可能としたという。

R-Car E2の提供により、第2世代R-Carシリーズすべてのラインアップが出そろったこととなる

さらに、搭載CPUコアであるCortex-A7は上位製品であるR-Car H2/M2で採用しているCortex-A15とバイナリ互換性を有しており、同一機能、IP、メモリマップの共通化が可能なほか、ドライバとミドルウェアの共通化も可能となっており、開発コストと期間の短縮、ならびにソフトウェア開発・管理の一元化などを図ることが可能だという。

R-Carシリーズ同士でソフトウェア同士の互換性などがあるため、設計資産を共有するといったことが可能となる

加えて、従来の「システム構築・インテグレーション環境用」のソフトウェア開発ボードのほか、ディスプレイ・オーディオで要求されるスマートフォン接続インタフェース、バックモニタ用カメラ、メディアプレーヤなど標準となる機能を実現する「アプリケーション・ミドルウェア環境用」のソフトウェア開発ボードもパートナー企業を通じて数万円程度で提供する計画とのことで、これによりエコシステムの拡大を目指すとしている。

「アプリケーション・ミドルウェア環境用」ソフトウェア開発ボードの概要

なお、R-Car E2はサンプル価格4000円で2016年6月より量産を開始し、2017年6月には月産50万個に生産量を引き上げる計画だという。

上段が従来の「システム構築・インテグレーション環境用」のソフトウェア開発ボード。下段が「アプリケーション・ミドルウェア環境用」のソフトウェア開発ボード