JR西日本は10月17日、今後少なくても数十年程度は安定的にSL動態保存が継続できる体制を整備すると発表した。これらの設備投資と合わせて、SL独特の技術を備える社員の中長期的な人材確保と実務能力の維持向上も推進する。

同社は、SL動態保存のさきがけとして、昭和54年に運行が開始されたSLやまぐち号やSL北びわこ号の運行、国鉄が全国から選りすぐりのSLを集めた梅小路蒸気機関車館の運営といったSL動態保存に取り組んできた。

SL動態保存は、車両の老朽化などの多くの課題を抱える現状にある一方、こうした歴史的経緯やご評を博している状況を鑑み、産業革命の原動力となり近代日本の産業遺産の一つであるSLを後世に継承することは同社の社会的使命であると考えているという。

今回、SLの解体検査に特化した専用検修庫を京都鉄道博物館に隣接する梅小路運転区内に新設し、日本のSL動態保存の拠点とする。ボイラー検修場、天井クレーンなど大型設備を新設し、ペデストリアンデッキによる京都鉄道博物館との一体運用を実施する。これにより、博物館に来館する人がSL検修の作業風景を見学することが可能になる。専用検修庫は平成27年度秋以降に利用が開始される予定。

SL専用検修庫の概略

また、車両の老朽化に伴い平成17年度より大規模修繕を実施してきた蒸気機関車C57に続き、現在主に、梅小路蒸気機関車館においてSLスチーム号で使用しているD51(デゴイチ)の大規模修繕と本線運転用の改造を実施し、本線運転を復活させる。

主な用途は、C56に置き換えて、SLやまぐち号・SL北びわこ号のけん引機関車として使用することで、平成29年度以降に利用が開始される予定。

大規模修繕と本線運転用の改造が実施されるD51-200