マイナビニュースは10月22日(水)、マイナビルーム(東京都千代田区)にて「プライベートDMPセミナー ~1.7歩先を行く、新マーケティング戦略~」を開催する。その中から、「GDOのプライベートDMPを導入した背景と導入効果」と題したゴルフダイジェスト・オンライン お客様体験デザイン本部 宣伝・PR部 部長の福永和洋氏の講演を紹介しよう。

メールマガジンによる集客は継続か衰退か2つの仮説

ゴルフダイジェスト・オンライン お客様体験デザイン本部 宣伝・PR部 部長 福永和洋氏

ゴルフダイジェスト・オンラインは、ゴルフ好きなら誰もが知っているゴルフ情報ポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン」を運営する企業だ。ゴルフ関係の情報収集はもちろん、各種予約からゴルフ用品の購入まで幅広く取り扱っている。

同社では2011年7月にWebサイトをフルリニューアルしたが、その際に年末以降のマーケティングプランに対して危機意識を持っており、中でも集客の鍵を握るメールマガジンについて2つの仮説を立てていた。

福永氏は「まず一つ目が、従来通りメールマガジンでの集客が成立する場合。そして二つ目が、メールマガジンによる集客が衰退していく場合です」と語る。事実、当時から徐々にメールマガジン開封率の低下が目立ち始めていたそうだ。

前者であれば、クロスチャネル・キャンペーンマネジメントツールなどを使ってメールマガジン施策を強化していけば良い。しかし、後者が現実化すると集客に向けた新たな広告手法を考える必要が出てくる。もちろん、リスティングやアフィリエイトなどの取り組みは創業当時から行っていたが、広告の進化に合わせた”ターゲティング+パーソナライズ”の仕組みが必要になる。こうして同社では、2つの仮説に基づいた取り組みを進めていったという。

不安感を抱かせない"おもてなし"的なコミュニケーションを重視

「ダイナミックリターゲティングバナーの場合、フリークエンシー(期間内に広告に接触した頻度)が多すぎると、効果こそ高まりますが、お客様が”追いかけられているようで気持ちが悪い”といった不安感を抱く可能性もあります。こうした逆ブランディングを避けるには、たとえばリピートがなかった際に1日後や1週間後など、少し期間を置いて追いかけ始めることが求められます」(福永氏)

確かにリターゲティングを高度化するならば、離脱した瞬間から追いかけた方が効果は上がるが、購入後数ヶ月以上にわたりサイト訪問がないユーザーにアプローチした方が"おもてなし"的なコミュニケーションをとりやすい。

どのようなユーザーなのかを知るためには、Webの閲覧履歴や購買行動、コンバージョン(最終成果)情報などを外部へ渡せるようなシステム構築が必要になる。そこで同社では2012年初旬から検討を開始。2013年1月に約1年間かけて準備を整え、システムの実稼動を開始した。

2013年といえば、広告市場において"枠から人へ"というコンセプトのプライベートDMP(※1)が注目されはじめた時期だ。つまりゴルフダイジェスト・オンラインでは図らずも、自社内の要求を満たすものとして自然に最先端のプライベートDMPを構築していたのである。

インセンティブ付き広告では登録率が5.6倍に

ゴルフダイジェスト・オンラインでは主に、プライベートDMPをDSP(Demand-Side Platform) (※2)と連携して使用。Webサイト内の使い方としてはLPO(Landing Page Optimization)やレコメンドなど、Webサイト外に関してはディスプレイアドネットワーク(※3)などもプライベートDMPと連携している。また、すでにデータウェアハウスやBI(※4)と連携したメールマーケティングは確立しているが、今後はさらに広告との連携も予定しているという。

福永氏は「従来は一斉配信のみでしたが、セグメントにより限られたユーザーのみにインセンティブを付与できるようになりました」と語る。

従来環境では、全員に対してインセンティブ(購買意欲などを引き出すための動機付け)を付与するとCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価) (※5)が上がってしまう、もしくは1人あたりのインセンティブを安く抑える必要が出てくる。また、インセンティブ目当てで本来のターゲット層と異なるユーザーばかりが集まってしまっては意味がない。しかし、ターゲットを絞り込めばCPAを抑えることが可能。さらに、規模は少数でもコンバージョン率が高い母集団が集まれば、結果的にLTV(Lifetime Value:顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益) (※6)の向上が期待できる。これは企業にとって大きなメリットだろう。

「しっかりとした抽出条件でインセンティブを付けた広告では登録率が5.6倍、インセンティブなしでも1.5倍という結果が出ています」と、福永氏はプライベートDMPの導入効果を語る。

最後に福永氏は「最初からプライベートDMPの活用を前提とした方針ではなく、あくまでも課題解決の手段として合致したら使うなど"目的ありき"の導入をお勧めします。セミナー当日は、プライベートDMPの目的と活用について、弊社なりの位置づけをお話しさせていただく予定です」と語ってくれた。プライベートDMPの導入を考える企業は、ぜひ参加していただきたい。

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(※1) DMP
Data Management Platform。企業の顧客データやマーケティングデータ、インターネット上のビッグデータ、サイトのログデータなどを統合的に一元管理し、広告などのマーケティングを最適化するためのプラットフォーム。

(※2) DSP
Demand-Side Platform。オンライン広告において、広告主側の広告効果を最大化する支援ツールのこと。

(※3) ディスプレイアドネットワーク
広告の表示機会を最大化するために、さまざまなターゲットを設定し、そのターゲットが閲覧したり検索したりしているコンテンツに合わせて、最適なものを表示する広告のこと。

(※4) BI
Business Intelligence。基幹系から情報系まで企業内で蓄積される多種多様で膨大なデータを蓄積、分析、加工することで、企業の意思決定や経営計画に役立てようとする手法。

(※5) CPA
Cost Per Acquisition。広告単価の指標。企業が掲載した広告経由で訪れたユーザーが、実際に商品購入や会員登録などを行った場合、その1件の成果に対してかかったコストのこと。

(※6) LTV
Lifetime Value。1人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益を算出する指標。長期にわたり顧客が支払った金額から、その顧客獲得のためにかかった費用を引いた利益。