富士通研究所は10月6日、多重故障時でも対応可能でディスク障害からの復旧時間が短いリカバリ方式を開発したと発表した。

同社が開発したリカバリ方式は、データの消失を保護する冗長データをディスク上のデータの塊であるデータブロックのグループごとに管理する独自構成で、これを用いることで、例えばディスク2台が同時に停止するような多重故障に対して、容量効率とのトレードオフを利用シーンに応じて自由に選択しながら、復旧時間を従来より約20%以上短縮できるという。

現在広く普及しているRAID 5やRAID 6などの標準的なRAIDの技術では、全てのパリティが全データを保護する方式が用いられており、あるディスクが故障した際に、そのディスクに格納された各データを保護するパリティに加え、残存データをすべて使って消失データを復旧する必要があるため、膨大なデータ転送による復旧の長時間化や、復旧中のデータ消失のリスクが増大することが問題となっていた。

新たに開発した技術では、データ復旧処理量を削減するパリティ保護範囲の多層化している。具体的には、各パリティが保護する範囲を、全てのデータではなく、一部分のデータに限定。そのうえで何れのデータの消失も保護できるように、各パリティの保護範囲を一部が重なり合うようにずらしながら重ね合わせる独自の方式を採用。ディスク故障時に、消失データを保護していた複数のパリティのうち、復旧に要するパリティとデータの合計が最少になるものを選択することで、復旧処理時間を短縮することができるという。

パリティ保護範囲の多層化

ディスク故障に伴い消失したデータの高速復旧

富士通研究所では、技術のさらなる改良をすすめ、2015年度中の実用化を目指す。