アステラス製薬とアストラゼネカは9月29日、タレントの乙葉さんと書道家の武田双雲さんを招き、喘息(ぜんそく)疾患啓発活動「チェンジ喘息! Voiceプロジェクト」発表会を都内にて行った。トークショーではおのおのが体験を交え、喘息への理解を呼びかけた。

喘息の啓発を訴える、左から国際医療福祉大学 山王病院 アレルギー内科 足立満医師、乙葉さん、武田双雲さん

喘息症状が出やすくなる秋

10月、11月と季節の変わり目を迎え、日中の気温の差が大きくなってくる秋。この季節は喘息症状が悪化しやすく、患者にとってはつらい季節の到来となる。喘息は慢性的な気道の炎症が原因で起こり、気温差のほかにも花粉や風邪など、さまざまな原因で症状が悪くなってしまう。主な治療としては、気道炎症を抑制することが重要とされている。

同プロジェクトは、喘息の症状が悪化しやすい秋に合わせてこれまでにも定期的に実施。喘息患者がその症状や不安をなくし、適切な治療を受けるために、医師に症状や不安を「声」にしてしっかりと伝える大切さを啓発していくことを目的としている。

主催社を代表してあいさつしたアストラゼネカ マーケティング本部の太田篤氏は「喘息患者は近年、増加傾向にある」と、患者数の現状を話した。その上で「タバコの煙やお香など、普通の人にとって何気ないものが発作のきっかけになる。症状が出るかもしれないという不安などから、喘息によって生活の質が低下してしまっている。発作が起こらない、症状ゼロを達成するために、正しい情報を多くの人に理解してもらいたい」とプロジェクトの趣旨を語った。

アストラゼネカ マーケティング本部の大田篤氏

アステラス製薬 プロダクトマーケティング部の藤田英一氏

続いて、アステラス製薬 プロダクトマーケティング部の藤田英一氏がプロジェクトの概要を説明。「喘息患者さんの思いや声を集めて共有することで、患者さん一人ひとりが医師に症状を相談しやすくなる」ようにと、患者さんのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)向上を目的に特設のウェブサイトを開設した。

サイトでは、患者さんの体験をもとにしたショートムービーが見られるほか、喘息患者さんが抱えるさまざまな声や思いなどを「五-七-五」のリズムで自由に表現し、投稿する「みんなの喘息川柳コンテスト」を開催。12月1日17時まで同サイト内で募集し、来年1月に発表を予定している。

大体の患者さんはシャイ

トークショーには、8歳で喘息を発症したという乙葉さんと、妻と娘が喘息だという武田双雲さん、喘息治療の第一人者で国際医療福祉大学 教授 山王病院 アレルギー内科の足立満医師が登壇した。

喘息をテーマにトークを展開する3人

乙葉さんは、「以前は季節の変わり目や風邪をひいたりすると、すごく不安になっていた」と、喘息との長い付き合いを振り返った。「前は症状が出てから病院に行っていたけれど、今は症状が出る前に相談をするようになった。朝と夜の吸入治療が毎日の日課になっていて、それでこの季節も安心して過ごせる」と、治療が変わったことで気持ちも変わったと話した。

「朝晩の吸入が日課」という乙葉さん

家族が喘息だという武田さんは、「初めて妻の症状を目の当たりにしたとき、妻よりも不安になってしまった」と、自分に症状がないだけに不安が大きかったという。台風が喘息症状の悪化につながるケースもあるが「今日も妻が『台風来てるよ』と(体の状態から)教えてくれた。天気予報よりも敏感かも」と驚きつつも、「夫や父として、いろんなストレスを取り除いてあげるような存在でありたい」と、家族を思いやる胸の内を明かした。

武田さんは「家族の話をより聞くようになった」という

「大体の患者さんはシャイ」という足立先生は、「喘息の治療は、対処から予防に変わってきている」と治療方法の変化を説明。「限られた診療時間ではあるが、忙しそうだから……などと医師に遠慮することなく、予兆などの症状や不安をしっかり伝えてほしい。それが、患者さんにあった治療法につながる」と、不安を「声」に出して伝えることの大切さを訴えた。

「不安を医師に伝えて」と語る足立医師

トークの最後には、「みんなの喘息川柳コンテスト」にちなみ、3人それぞれが考えた喘息川柳も披露された。

(掛け軸右から)武田さん、乙葉さん、足立先生の川柳

トークの後は、武田さんが特別に書のパフォーマンスを披露。したためられた書「チェンジ喘息!」は、「喘」の「口」がハート型になっているユニークなものとなった。

最初にハートマークを書いた武田さん

「ハッピーになれる」と乙葉さん(中央)は武田さんの書を絶賛した

武田さんは「喘息という言葉をポジティブなものにしようと思った。ハートは大好きですよ」と語り、書の自己採点を聞かれると「満点です! 」と、笑顔を見せた。乙葉さんも「ハッピーな気持ちになれる書だったので、すごくステキ」と絶賛していた。