特別展「林忠彦写真展 ― 日本の作家109人の顔」を開催

千代田区立日比谷図書文化館は26日~11月25日、特別展「林忠彦写真展 - 日本の作家109人の顔」を開催する。

作家が「文士」と呼ばれていた時代、彼らの肖像を描いた写真家がいた

同展は、昭和を代表する写真家の一人、林忠彦(1918~1990)が日本の作家109人を撮った写真展。昭和という、作家が「文士」であった時代を生きた「顔」を記録した写真107点に加え、もう一つの作家の「顔」といえる代表作や初版本が展覧会に華を添える。

林忠彦は、銀座のバー「ルパン」に集う無頼派作家たちと出会ったのをきっかけに、戦後の日本文学を担う文士たちの姿を撮り続けた。復興の時代を生きる、力強く個性的な文士たちの「顔」。エネルギーがあふれる時代の息吹を、彼らの姿とその作品から、感じ取れる機会となるという。

坂口安吾

左・深沢七郎「楢山節考」と、右・壺井栄「雑居家族」

会場では、決定カットとその前後のカットが入った 未公開のコンタクトシート4枚を初めて展示。コンタクトシートとは、ネガフィルムを1枚の印画紙に焼き付けたもので、プリントする写真を選ぶためなどに利用される。そのほか、井上靖による林忠彦に寄せた「林忠彦氏の仕事」の直筆原稿6枚を展示する。

川端康成と、コンタクトシート(右)

会場内で配布される解説書には、林忠彦と作家との撮影時のエピソードがイラストで掲載され、作家の意外な一面が楽しく紹介されている。また、今回の特別展では坂口安吾以外に谷崎潤一郎、川端康成など、8人の大作家を表紙にした8種類のコレクター心をくすぐる宣伝(広報)チラシを作成。神田古書店を始め、関係各所に配布し大きな反響を呼んでいるという。

特別展チラシ(全8種類)

また、神田古書店連盟の全面協力のもと、林忠彦が撮影した文士109人の代表作に初版本を含めて展示。作家109人の会場内の展示本は展覧会終了後に購入可能となる。会場出口に各書籍の価格表を設置し配布する。

開催日は、9月26日~11月25日。休館日は、10月20日、11月17日。観覧時間は、平日10時~20時、土10時~19時、日祝日10時~17時(入室は30分前まで)。会場は、千代田区立日比谷図書文化館 1F特別展示室(東京都千代田区日比谷公園1-4)。観覧料(税込)は、一般300円、大学・高校生200円。

なお関連イベントとして、10月18日に対談「林忠彦の見た、昭和という時代」、11月4日に鼎談「林忠彦の写真にみる文士たちの生き様」も開催する。