日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は去る9月14日、東京本社にてICT(Information and Communication Technology)を活用した「21世紀型教育のモデル授業」を公開した。日本HPが支援する特定非営利活動法人スーパーサイエンスキッズが主催し、後援には仙台市、仙台市教育委員会、仙台市八木山動物公園、ホノルル動物園に加え、米国大使館や米国商工会議所、総務省や日本経済団体連合会が名を連ねる。

現在からこの先、学校教育においてICTの利活用が進み、知識偏重型の教育から知恵(生きる力)を獲得させる教育への転換が求められていく。今回の「21世紀型教育のモデル授業」は、子どもたち自らが問題意識を持ち、解決策を考え、実行する力やグローバル社会で通用するコミュニケーション能力を習得することを目的としている。

東京都江東区にある日本HP本社に、仙台市内の小学生や都内インターナショナルスクールより、数十名の子どもたちが集まった

写真は「スマトラトラとわたしたちみんなの未来を考えよう!」と題して行われた、ドキュメンタリービデオを制作するカリキュラムの1コマ

「21世紀型教育のモデル授業」に対する取り組みは2014年5月よりスタートし、グローバル社会で通用するコミュニケーション能力の育成とICTの利活用に重きを置く。今回は東京の西町インターナショナルスクールと仙台市内の小学生が参加した。

絶滅危惧種への関心を抱かせつつ、重要性が叫ばれているプログラミングへの興味を喚起するカリキュラムも実施された。写真左は高学年向けの「地球の未来を考えよう!スクイーク・プログラミング教室」、写真右は低学年向けの「絶滅危惧種を救え!スクラッチ・プログラミング教室」

まずは、絶滅危惧種であるスマトラトラの保護をテーマにしたモデル授業だ。実際に八木山動物公園や恩賜上野動物園へスマトラトラに会いに行く、ドキュメンタリービデオ制作のために取材や撮影を行う、チームメンバー同士で調査した内容をプレゼンテーションするなど、課題を発見、調査する。

加えてWWFジャパンの協力によって、スマトラトラが生息するスマトラ島で今起きているパームオイル農園の拡大も1つのテーマとなった。それぞれ異なる立場、視点で問題をとらえ、人と自然が共存していける解決策をグループワークで導き出すという、実践的なカリキュラムだ。

「21世紀型教育のモデル授業」を主催したNPO法人スーパーサイエンスキッズのWebサイト。本カリキュラムの内容を知ることも可能だ