日本の男子学生が着る「学ラン」のデザイン、どう思いますか?

最近ではブレザーの人気に押され気味の「学ラン」。でも、あの余分な物がなくすっきりしたデザインは、学生の勤勉さや真面目さを引き出すための独特なデザインのような気もします。海外ではこうしたデザインの制服はほとんど見かけませんが、海外の人たちはどのように感じているのでしょうか。

そこで、日本在住の外国人20名に「日本の男子学生が着る「学ラン」のデザイン、どう思いますか?」と質問してみました。

■かっこいい。(ロシア/20代前半/女性)
■かっこいいです。お勉強が好きな人のように見えます。(タイ/30代後半/女性)
■かっこいいです。(フィリピン/40代前半/女性)
■かっこいいです。(中国/20代後半/女性)
■とてもきれいにできています。(チュニジア/40代後半/男性)
■かっこいいと思います。(台湾/40代前半/男性)
■はい。(ブラジル/20代後半/男性)
■かっこいいと思います。(マレーシア/30代前半/男性)
■すてきだと思います。(スウェーデン/40代後半/女性)
■かわいいと思います。(ペルー/30代前半/男性)

実は、学ランとは詰襟タイプの男子学生服の別名です。学ランの「ラン」とは、江戸時代の隠語で洋服を意味する「ランダ」が略された言葉。つまり「学生が着るランダ」が短縮されてこう呼ばれるようになったのだとか。

最初の詰め襟の学生服は、1873年頃、工部省工学寮(後の工部大学校)などで定められた物と言われています。工学寮の学生服は官給品であり、近代化初期における洋服や西洋の生活様式を取り入れる開化政策の試みのひとつだったそう。今の学ランに通じる形は、東京帝国大学が1886年に定めた制服。軍服がベースにあり、ボタンを使わないホック式では海軍士官の制服も参考にしているだけに、ストイックなりりしさやかっこよさを感じるのでしょうね。

■かっこいいですが、みな同じなので個人の特性がわかりません。(ベトナム/30代前半/女性)
■かわいいものもあるが、ずっと同じデザインを使う学校の生徒がかわいそうだと思うことがある。(イギリス/20代前半/女性)
■好きではない。軍隊って感じする。(アルゼンチン/30代前半/男性)

こちらは、中庸の意見。好きではないという意見もありますが、恐らくその理由が他の二つと共通だろうとの見解からこちらにまとめました。個性がない、同じデザイン、軍隊風…という印象は、すべて前述したような軍服のデザインが元であることに起因しているのでしょう。 学生服は1950年代頃までは大学生も着ていましたが、1970年代には激減。高校や中学でも校内暴力の増加現象も関係し、丈が異様に長い長ランやももが太く裾すぼまりのボンタン、短ランなどの変形制服で個性を出そうとするツッパリ呼ばれる学生が増えました。この時代の制服の様子は、きうちかずひろ著「BE-BOP-HIGHSCHOOL」や最近実写化された紡木たく著「ホットロード」どでも見ることができます。

■少し古いですね。(韓国/40代後半/男性)
■真面目すぎるに見えます。(スペイン/30代後半/男性)
■黒いし、シンプルすぎると思います。(トルコ/30代前半/女性)

80年代中盤になると、変形スタイルの制服は先のツッパリと呼ばれる層だけでなくオシャレさを求める一般の学生にも広がりました。程度の差はあれど没個性な制服が退屈だ、と回答のように感じた人たちが日本でも少なからずいたわけです。

古くさい、真面目、シンプルな印象を変えたいという学生のために、短ランや細身のボンタンなどバランスのよい変形型もうまれました。30代後半の男性であれば、こうした制服を着用した経験は少なからずあるはず…。江口寿史の「ストップ!ひばりくん」や80年代の少女漫画では、細身の変形制服を着ている男性キャラが多く登場しているので、上のマンガとの違いを比較するのも面白いかもしれません。

■ださい。(ドイツ/40代前半/女性)
■ださいと思います。(アメリカ/20代後半/男性)
■かっこ悪い。(イスラエル/30代後半/女性)
■よくない。(オーストラリア/40代前半/男性)

否定的意見。ドイツやアメリカなど、個性を重視する国の人々の回答が集まっているのが興味深いですね。海外の人にはださく見える学ランですが、実は日本ではあのデザインが「大好き!」という層(特に女性)がかなり多いんです。世界の中でも性別に関わる日本人の好みは独特だと言われますが、本当に不思議なものです。

時代の波に押されて、どんどん少なくなっている学ラン。学ランの制服だった男子校がいつの間にか共学になり、制服もブレザー化していてびっくり! という経験が筆者にも少なからずあります。そんな中で、あの学ランのストイックさは学生時代だからこそ似合う気もするだけに、このままなくなってしまうのは少し寂しいな…とも。でも、ブレザー文化の海外だとこうした感覚はあまりないのかもしれませんね。みなさんはどう思われますか?