理化学研究所(理研)は9月12日、同日に理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)が実施した「滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究」における第1症例目の手術の内容などを公表した。

手術は兵庫県神戸市の先端医療振興財団 先端医療センター病院にて、同日の14時20分から16時20分にかけて、先端医療センター病院 眼科統括部長/神戸市立医療センター中央市民病院 眼科部長の栗本康夫氏ら眼科医3名を含む手術チームにより兵庫県在住の70歳代の女性に対し行われたという。

手術の結果としては、約1.3mm×3mmのRPEシート1枚を被験者眼球(片目)の網膜下に移植したとのことで、多量の出血など、重篤な有害事象の発生は起こらなかったという。

なお、今回の手術について栗本康夫眼科統括部長は「今回の研究はiPS細胞を使った再生医療の確立という大きな目標に向かっての小さな一歩であり、本日の手術は、その臨床研究全体の中での1つのステップでしかありませんが、大きな節目を乗り越えられた事は大変に嬉しく思っております。手術を受けられる患者さんには大きな不安もあったかと思います。治療に伴うリスクなど諸々をすべて受け入れられた上で、手術を受けても良いと決断された患者さんの勇気に最大限の敬意を表したいと思います」とコメントをしているほか、高橋政代プロジェクトリーダーも、「 iPS細胞を使った再生医療の第1歩を踏み出すことができたと思います。これをスタートとして、必ず治療として多くの方に届けられるように歩みをとめずに進みたいと決心を新たにしております」とコメントしている。