周囲に飼っている人がいない珍しいペットを育ててみたいなら、愛きょうたっぷりのハリネズミなんてどうだろう?
とはいえ、そうそうお目にかかる機会もない動物ゆえ、生態を熟知している人は少ないはず。そもそも、名前からしてネズミの一種だと理解している人が多いだろうが、実はハリネズミとネズミは赤の他人。生物学的にはモグラに近く、薄暗いところを好むのだとか。では一体どんな風に育てたらいいの?
詳しい飼育方法について、ハリネズミショップ「ハリハリ・ライフ」のcororiさんに訊いてみることにした。
まるで人間の子どもみたい!? 多彩な表情を持つハリネズミ
ハリネズミの愛くるしい表情にノックアウトされたことがきっかけとなり、ブリーダーとなったcororiさんによると、ハリネズミの一番の魅力は表情の豊かさなんだそう。「怒った顔、楽しい顔、眠たい顔…常にいろいろな顔をみせてくれるところがたまりません。それに、身体を丸めてチョコンと顔を出している姿には本当に癒やされます」。
いろんな表情をみせてくれるということは、もしかして飼い主を認識して心を許しているのだろうか?
疑問に思ってたずねてみると、「ハリネズミは目がほとんど見えていない分、嗅覚と聴覚が優れているので、飼い主のニオイや声を覚えているんです。長い時間かけて馴らした子は、ケージに手を入れたら出てきますし、名前を呼んだら振り向いてくれることもありますよ」とのこと。
ハリネズミと仲良くなるためにはスキンシップが不可欠
とはいえ、無論すぐになつくことはなく、ベテランのcororiさんであっても、半年から1年くらいかけて徐々に馴らせていくのだとか。
「毎日きちんと触ってあげないと慣れないので、針を立てられても触り続けることが大切です。ちなみに、背中は約2千本の針で覆われていますが、お腹や肉球はとってもプニプニ。ぜひ一度実際に触ってプニプニ度合いを確かめてほしいですね」
また、飼育する際には温度管理に気を配ることが重要。「ハリネズミは20度を下回ると冬眠して、30度を超えると夏眠する生き物なので、なるべく適温(24~29度)を保って管理してあげましょう」。
意外にグルメなハリネズミ
さらに、単独行動を好むため、1つのケージに1匹で飼うのも基本だ。
「食事は、ハリネズミ専用フードを与えるのが一番ですが、意外にグルメな生き物なので、飽きたら食事に手をつけなくなります。そこで、何種類かのフードを用意して、単体にしたり混ぜたりすることで毎日味を変えることが重要。私は、ササミやレバー、ゆでたまごをトッピングすることもありますよ」
性別によって性格に違うはないが、オスは生後6カ月以降の性成熟期を迎えると、メスのニオイに反応してピーピー鳴くのだとか。メスがいなくても飼い主に反応することもあるというが、メスにはそうした求愛行動は見られないそう。
「ハリネズミとよい関係を長く築くためには、飼い方について勉強したり飼育設備を整えたりといった事前準備が不可欠。ペットショップでの出会いで惚れ込むこともあると思いますが、そうした場合も、一度踏みとどまって、まずは正しい基礎知識を身につけてくださいね」。
楽しく基礎知識を身につけたいなら、cororiさんが綴る「ハリネズミブリーダーの飼育ブログ」を愛読するのもよい手。キュートなハリネズミの写真付きで楽しませてくれるので、飼う前から愛情も深まること間違いなしだ。