日本を代表する喜劇作家として、第一線を走り続ける三谷幸喜。WOWOWで最新映画「清須会議」が放送されることを記念して、三谷作品がもっと楽しくなる、思わずもう一度見たくなる、作品を楽しむポイントをご紹介! 大笑いしながら最後には心が“ホッコリ”あたたまる、そんな三谷喜劇の魅力を再確認しておこう。

三谷監督は「会議」がお好き」!?

これまで、舞台、テレビドラマ、映画とさまざまなジャンルでヒット作を連発してきた三谷幸喜。奇想天外なドタバタ劇で観客を笑わせておきながら、ラストにはなぜか「人間っていいな」とほんわか幸せな気分にさせてしまう――そんな三谷喜劇にはどんな秘密があるのか。

(C)2013フジテレビ 東宝

最新映画「清須会議」は、天下統一を目前にした織田信長亡き後、その家臣たちがその後継者を決める歴史的な話し合いを描いたコメディだ。5日間に及ぶその会議では、柴田勝家、羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興の4人を中心に、彼らを取り巻く人物たちを巻き込み、歴史は動き出す。緊迫した腹の探り合いに、化かし合いを繰り広げる武将たち。

彼らの人間臭さに笑って、腹黒さを隠そうともしないキャラクターの態度にイライラして、でも気づいたらいつの間にか心がスカッと元気になっている――そんな三谷らしさが詰まったエンタテインメント作品だ。

この「清須会議」は、三谷自身が17年ぶりに書き下ろした同名小説を映画化したもの。幼い頃から歴史が大好きだった彼が“清須会議”に興味を持ったのは10歳のときだというから、構想期間は40年以上!? 人間同士が血を流す合戦よりも、武将同士の心理戦や駆け引きのほうに心を惹かれたというエピソードも、彼の作風からすればうなずける。本人いわく、子供の頃に見たアメリカ映画「十二人の怒れる男」に感銘を受けて『12人の優しい日本人』を作ってしまったほどの「会議大好き人間」でもあるため、この作品ができたのも必然だったというわけだ。

そう、三谷作品の真骨頂といえば、会議のように閉じられた“密室”で繰り広げられる漫才のような「会話劇」の面白さにほかならない。それは、大学在学中に劇団「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げし、シーン数や登場人物に限りがある舞台作品を原点とする彼ならでは。

「清須会議」はもちろんだが、ほかの密室で起こる「“口”防戦」をとことん楽しめる作品として、会議室を舞台に、陪審員たちの激しいディスカッションが繰り広げられる『12人の優しい日本人』や、検閲官と喜劇作家による2人芝居を描いた『笑の大学』などが挙げられる。取調室という“密室”で交わされていた会話は、ひょんなことから思わぬ勘違いを生み、物語は意外な方向へ展開していく……。そして、“密室”で起きていたはずの出来事は、その独特とも言える“キャラクター”で観客を魅了し、いつしか広大な社会を意識させ、あっと驚くような感動を巻き起こしていくのだ!