花王は8月26日、褐色脂肪組織の活性が低下して太りやすい傾向にある人が、茶カテキンを5週間継続摂取すると、褐色脂肪組織の活性が高まるとともに、脂肪燃焼量が増えることを確認したと発表した。

この成果は同社のヘルスケア食品研究所と天使大学の研究グループおよび北海道大学 斉藤昌之名誉 教授らの研究によるもので、第68回日本栄養・食糧学会大会において発表された。

褐色脂肪組織は、脂肪をためる機能をもつ白色脂肪組織から運ばれる脂肪を燃焼して消費する機能を有する組織。これまで、幼児の頃は多くもっているが、成人になるとなくなってしまうと考えられていたが、近年の測定技術の向上により成人にも首や肩の周囲に存在することが判明した。

また、褐色脂肪組織は、体熱の産生に関わり、特に人が低温の環境下に置かれた際の寒冷刺激によってその活性が高まり、褐色脂肪組織の量と人が自ら生産する熱量が比例関係にあることが確かめられている。さらに、褐色脂肪組織の活性が低い人は、エネルギー消費量が低くなるとともに、脂肪をよく燃やすことができない傾向になることから、太りやすい体質の因子をもつ可能性が示唆されてるという。

同研究では、褐色脂肪組織の活性の低い人を選び、茶カテキンを含有する飲料を摂取する群(茶カテキン群)と、含有しない飲料を摂取する群(対照群)に分けて、5週間飲用を継続した前後において、褐色脂肪細胞に関わるエネルギー代謝を調べたとのこと。

褐色脂肪組織活性の撮影データ。赤矢印部分の黒色が濃いほど活性が高い。

この試験結果を解析したところ、褐色脂肪の活性に起因するエネルギー消費の変化量は、茶カテキン群が対照群の約2倍となるとともに、脂肪の燃焼量に有意な作用をもたらすことが確認された。これにより、褐色細胞組織の活性が低く、低エネルギー消費となっている成人において、茶カテキンの継続摂取が脂肪燃焼量の増強に寄与すると結論付けられた。

エネルギー消費変化量の比較(左)と脂肪燃焼変化量の比較

この結果を受けて同社は、「日常生活における茶カテキンの継続摂取が、太りやすい体質のヒトの肥満予防の一助につながる可能性が期待される」とコメントしている。