日立製作所は8月6日、英国における鉄道システム事業会社である日立レールヨーロッパが、英国ネットワークレールから、欧州の鉄道における統一列車制御システム規格「ETCS(European Train Control System)」に準拠した車上信号装置を日本企業として初めて受注したと発表した。

ETCSは、都市間交通向けに規格化された唯一の信号システムとして、中国やインドなどの欧州以外の地域でも導入が推進されており、全世界で延べ6万8,000km以上の路線に展開されている。日立レールヨーロッパは、2008年10月に中国で高速旅客専用線向けにETCSに準拠した列車制御システムを受注し、納入した実績がある。

2013年12月には、日本企業として初めてETCS規格への適合を示す「TSI(Technical Specification for Interoperability:都市間鉄道向けの相互乗入に関する技術要求)」認証を取得し、ETCS規格に準拠した車上信号装置を製品化。英国ネットワークレールの協力を得て、機関車を用いた実証走行試験を実施し、他社製のETCS規格に準拠した地上信号システムとの互換性を確認した。

今回、受注が決定した装置は、走行を安全に制御する安全計算機や無線通信装置などから構成されており、地上から車上に無線で伝送される信号情報に基づき車両ブレーキの自動制御を行うもので、各編成の先頭車両に設置され、列車を制御する。

同装置は、英国カンブリアン線(シュールズベリーからプスヘリ間/215km)を走行する2両のClass37ディーゼル機関車に搭載され、2015年8月から使用される。英国都市間高速鉄道(IEP:Intercity Express Programme)向けの車両866両にも搭載される予定。

英国都市間高速鉄道「車両」イメージ