東北大学災害科学国際研究所、東北大学大学院理学研究科、東北大学サイバーサイエンスセンター、NEC、国際航業は共同で、総務省「G空間シティ構築事業」のプロジェクトである「G空間情報と耐災害性ICTを活用した津波減災力強化 - リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業」に参加し、大規模地震発生時の津波による浸水被害を高精度かつ迅速に予測する技術の実証に取り組むと8月1日発表した。

本実証事業は、総務省が公募する「G空間シティ構築事業」に基づくプロジェクトの一つに位置づけられ、東北大学災害科学国際研究所 越村俊一教授を責任者として、複数の自治体・大学・民間事業者が参加し、津波による浸水・被害予測・災害情報配信について、地震発生時のデータ取得からユーザーへの情報提供まで、幅広い実証を行う。

具体的には、大規模地震発生時の地震情報やGNSS測位技術を活用した地殻変動データから、NECの最新スーパーコンピュータ「SX-ACE」を用いて、東北大学と国際航業が開発した「津波浸水・被害予測シミュレーションプログラム」を高速に実行することにより、津波による浸水被害の予測を地震発生から約20分以内といったリアルタイムで行うことを可能にする。

本プロジェクトでは、5者が共同で「津波到達前の浸水・被害の推定」の実証領域を担当。それぞれの役割は、東北大学災害科学国際研究所が、津波浸水・被害予測シミュレーションに基づく被害予測手法の開発者として、陸域における精緻な浸水・遡上予測および被害の量的な予測を行う。

東北大学災害科学国際研究所、東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センターは、地震によって沖合で励起された津波の高さ分布(津波波源モデル)を、津波浸水・被害予測シミュレーションの初期条件として提供するために必要となる震源断層モデルの即時推定(地震発生後10分以内)を行う。震源断層モデルの即時推定には、気象庁が公表する震源情報に加え、国土交通省国土地理院と共同開発を進めてきたリアルタイムGNSS観測データによる地殻変動検知技術等を駆使する。

東北大学サイバーサイエンスセンターは、東北大学の「津波浸水・被害予測シミュレーションプログラム」の高速化と大規模並列化をNECと共同で行う。また、通常時は全国共同利用計算機として運用しているスーパーコンピュータシステム「SX-ACE」を、津波発生時には、津波シミュレーション専用運用に迅速に切り替え、シミュレーションを実行する。

NECは、サイバーサイエンスセンターと共同で、NEC製「SX-ACE」を利用した「津波浸水・被害予測シミュレーションプログラム」の高速化と大規模並列化を行い、また、津波発生時に、スーパーコンピュータシステムを津波浸水・被害予測シミュレーション専用運用に迅速に切り替える仕組みの開発を行う。

国際航業は、波源から陸域までの高精度な津波遡上プログラムを、東北大学災害科学国際研究所と共同で、高速化・並列化に配慮した改良を行い、より精緻な津波遡上・被害予測を行うため、地形モデルおよび被害推定システムの開発を行う。