スマートフォンが「悪」にならないために

家族でiPhoneを持ちやすい環境を整えて行くApple。しかしそれだけでは、全ての問題を解決することにはつながらない。つまり、お互いにiPhoneを持った上で、家庭でのルール作りによって子どもを守る必要がある。

例えば、ソーシャルメディアやモバイルメッセージング、ゲームなど、子どもが熱中するサービスはたくさん登場している。特に学校などでの友人と交わすコミュニケーションは、時間や場所を忘れて長時間を費やしてしまう。いくらファミリー共有で誤課金は防げても、子どもが何に時間を割くか、ということをコントロールするわけではないのだ。

またプライバシーの意識を持ってもらうことも家庭での役割になる。どんな情報を知られると危険なのか? 情報を知られる仕組みはどうなっているのか? コミュニケーションの中で言って良いこと、悪いことは何か? 写真1枚を撮影してアップロードするとしても、写っている内容や位置情報などから思っている以上の情報が渡ってしまうことを理解してもらわなければならない。

スマートフォンそのものや、その上で動くアプリを採り上げ、事件と関連づけて危険性を指摘する報道が絶えない。これらの情報を見渡すと、例えば5年前にmixiで起きていたことが、現在LINEで同じことが起きるなど、モバイル化によってそのスピードが変化はあるかもしれないが、問題の根源は変わっていないものが多い。

特に日本の学校ではテクノロジーをネガティブなものととらえがちで、積極的な活用や教育からは遠い存在となっていることを考えると、親が家庭できちんと教える必要がある。そのためにも、親となる我々大人が、モバイルやソーシャルのサービスを使いこなして理解している必要がある。

iOS 8のファミリー共有を、モバイルのハウスルール策定へと乗り出すきっかけにできると良いだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura