妊娠体質になるには?

結婚し、そろそろ子供を……と考えたとき、どんなことから気をつけるべきでしょうか。妊娠するためだけでなく、妊娠中や産後、子育てもラクになる食習慣をご紹介します。

心にも良い栄養を

妊娠しやすい「妊娠体質」となるために、必ずとってほしいのは「たんぱく質」です。人間の体のほとんどはたんぱく質でできていますから、当然、赤ちゃんの体を作るためにも豊富なたんぱく質が必要です。

また、神経伝達物質の原料である「ビタミンB6」は、疲労回復や病気・老化の予防に効果的。卵子の質を高めることもできます。赤ちゃんにとっても大事な栄養素 なので、妊娠中や産後もとり続けましょう。

妊娠準備の段階からとっておきたいのが、「葉酸」です。葉酸は赤ちゃんの脳神経を作る栄養素ですが、赤ちゃんの脳神経は妊娠10週目までにほとんど作られてしまいます。つまり、妊娠を自覚する前からとっておく必要があるのです。

とても重要なのに不足しがちな栄養素が「鉄」。鉄は粘膜の代謝に働きかけて子宮環境を整えます。また、たんぱく質やビタミンB6と共に神経伝達物質の材料でもあるため、穏やかな精神状態を保つためにも必要不可欠。

鉄は特に、妊娠中や出産時に多量に消費するので、意識してとりましょう。十分に鉄をとっていればお産も軽く済み、産後うつなど精神的に不安定な状態にもなりません。免疫にも影響するため、生まれてくる赤ちゃんも夜泣きをしにくく、風邪を引きにくい子になりますよ。

さらに、35歳を過ぎた方に特にオススメしたいのが「ビタミンE」です。「妊娠ビタミン」と呼ばれることもある栄養素で、排卵の促進や卵巣重量の増加をうながし、強力な抗酸化作用もあるので卵子の老化防止にも役立ちます。

おすすめは"赤身肉"

では、これらの栄養素をとるためには何を食べればいいのでしょう?

実は、牛・豚・鶏のレバー肉には、先ほど挙げたほとんどの栄養分が含まれています。葉酸は野菜に多く含まれますが、レバーやマグロなどに含まれるビタミンB12の協力がないと作用しません。

つまり、レバーや赤身の肉を選んで食べるのが効果的なのです 。鉄分やたんぱく質は野菜からもとれますが、動物性のものと比べると吸収性が悪かったり、栄養組成が偏っていたりといった欠点もあります。

また、「妊娠ビタミン」のビタミンEはアーモンドやアボカド、落花生やかぼちゃなどに多く含まれています。間食をするならこれらの食材がオススメ。

カロリーが気になるかもしれませんが、糖質の低いお肉が中心の食生活はダイエットにも効果的です。とはいえ、食事だけで必要量を摂取するのは少し大変。必要に応じて、サプリメントを利用すると良いでしょう。マルチビタミンではなく、単一栄養素のサプリで 、信頼できるメーカーのものを選ぶのがおすすめです。

人間の体は、日々摂取する栄養で作られています。これらの食習慣は、「妊娠体質」のベースとなるもの。不妊治療を進めている方も、ぜひお試しください。

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筆者プロフィール : 定 真理子(じょう まりこ)

新宿溝口クリニック・チーフ栄養カウンセラー。栄養療法により不妊症を克服(現在2児の母)したのをきっかけに、分子整合栄養医学を学ぶ。美容・アンチエイジング・ダイエット・不妊対策・子育てなど、女性ならではの悩みに対応した栄養指導を行う。

著書「女性のイライラがスッキリ消える食事
・定価: 1,400円(税別)
・発行: 株式会社マイナビ
・192ページ