女優・石原さとみが俳優・玉木宏と初めて共演した映画『幕末高校生』が、26日から公開をスタートした。『デトロイト・メタル・シティ』(2008年)で知られる李闘士男監督がメガホンをとった本作は、石原さとみ演じる教師・川辺未香子と3人の生徒が幕末にタイムスリップし、勝がその現代人と出会いながら、新たな歴史を切り拓いていくエンタテインメント新時代劇。本作で初共演を果たした玉木と石原に、撮影現場のエピソードや監督に仕掛けたドッキリ秘話を語ってもらった。

映画『幕末高校生』で初共演した玉木宏(右)と石原さとみ
撮影:WATAROCK

――時空を超えるという特殊な設定でしたが、本作とどのように向き合われたのでしょうか。

玉木宏(以下玉木):現代劇との融合だったんですが、そんなに違和感はありませんでした。勝海舟という人物は外に目を向けている人物。今までは凛とした、聡明なイメージを抱いていたんです。なので、最初は少し違和感があった台本も、ちょっと離れたところから彼を見ると、いろんな側面を持っている人だということが分かります。1つの物事に対して悩んだり葛藤したりする姿がより人間らしいと感じて。偉人ではあるんですが、その人間らしさに愛着が湧きました。

石原さとみ(以下石原):教師役は今回が初めてではなかったのですが、久しぶりにできてうれしかったです。生徒と関わる冒頭とクライマックスのシーンはクランクインしてすぐ、2日かけて撮りました。最初と最後の成長の変化がそこで決まるわけですから大変な撮影です。でも、生徒たちとの年齢がそんなに離れていなくて、キャラクターも個性的だったので楽しんで撮影できました(笑)。

――それぞれの出演シーンや現場で印象に残っていることは?

石原:覚えてますか?

玉木:覚えてるよ。さとみちゃんの普段の姿勢というか、すごく明るいんですね。待ち時間も多かったんですけど、その中でも生徒たち含めてさとみちゃん主導で会話が進むことが多くありました。そういう部分でも本当に助けられました。

石原:みなさん、そうじゃないですか?

玉木:もちろん、いつも仲良くなろうと思って話すけど、いつの間にか近い距離で何でも話してしまっているというか(笑)。それはすごく不思議な力だと思います。

石原:私は居心地がよかったです。みなさん声をかけたら、色々なことを返してくれますし。

玉木:そうだね。確かにシャットアウトする人がいなかった。もともとみなさんが持っている個性というか、それぞれ飄々と自由なムードで(笑)。

石原:フィーリングが合うキャストでしたよね。玉木さんは殺陣のシーンがすごかった。監督がすごくこだわっていましたよね。1シーンを1カットで撮りたいとかもおっしゃっていました。今までにない手数がほしいとか。そして実際に映像を見るとすごいなと。現場は雰囲気がよくて、監督は締めるところは締めてくれます。お芝居が好きな人ばかりで、待ち時間の会話もそのまま回してたらいいんじゃないかと思ってしまうくらい、みなさん役柄に合っていたんじゃないかなと思います。

――今年3月の完成報告会見で、監督にドッキリを仕掛けた話題が上がっていました(李闘士男監督が食事をしている別室にキャスト陣が集まり、聞き耳を立てていた)。どのような経緯でやることになったのでしょうか。

石原:玉木さんは普段からドッキリ仕掛けてますもんね(笑)。

玉木:細かいドッキリはそうですね。

石原:常に有ります。

玉木:計画性をもってやることは、確かにそんなにないね。

石原:突発的ですもんね(笑)。

玉木:あの時は、風のうわさで監督がメイクさんとご飯を食べるというのを聞いて。

石原:女性だらけのメイクチームとね(笑)。

玉木:うん。監督は既婚者ですから、何かあってはまずいし。

石原:見張りにもいかなきゃってね(笑)。

玉木:これが東京での撮影だと、終わってからみんなで集まることなんてあまりできませんよね。でも京都で撮っていたので、監督に宿から近いところで食事をしてもらうようにして。

――監督は褒めるばかりだったそうで(笑)。

玉木:そうなんですよ。本当に気づいてなかったと思うんですけど。もう、ちょっとエグいことを話してくれれば面白かったのに。

石原:そうですね(笑)。