豊田通商と近畿大学は16日、共同で水産養殖事業の推進に関する覚書を締結し、クロマグロの人工種苗の生産事業や海外での事業化を本格的に進めると発表した。

両者は、2010年7月にクロマグロの完全養殖事業における技術協力提携を結び、世界初というクロマグロの中間育成事業を実施。クロマグロの稚魚をヨコワと呼ばれる30センチメートル程度の大きさまで育てて出荷している。

2014年5月には、人工種苗の安定的な提供を目指し、現在、中間育成事業を行っている長崎県五島市に新会社「ツナドリーム五島種苗センター」を設立。これにより、量産化を可能にするとともに、これまで課題であった輸送中の稚魚死亡リスクを軽減させるなど、完全養殖クロマグロの生存率向上に貢献するとしている。

事業領域

同センターは2015年5月から稼働開始。クロマグロを卵から人工孵化させ、5センチメートル程度の稚魚に育成する。近畿大学は、スタッフを派遣して量産技術を指導する。事業計画では、今後6年間で総額15億円を投じ、2020年に30万尾の量産を目指すという。

このほか、海外における天然資源保護、人工種苗へのニーズの高まりやマグロ以外の魚種に対する需要に貢献するため、他魚種の完全養殖・海外での完全養殖についても、近畿大学の技術を生かし事業化を検討していくとしている。