日本中を感動させた小惑星探査機「はやぶさ」の帰還から4年。その後継機となる「はやぶさ2」を描いた全天周映像作品「HAYABUSA2 -RETURN TO THE UNIVERSE-」が完成し、7月14日、多摩六都科学館(東京都西東京市)にて完成披露試写会が開催された。ライフパーク倉敷科学センターを皮切りに、全国のプラネタリウムで上映される予定だ。

「HAYABUSA2 -RETURN TO THE UNIVERSE-」

前作「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」を指揮した上坂浩光監督が再びメガホンを取り、「はやぶさ」の帰還から「はやぶさ2」の打ち上げまでを描いた作品。「はやぶさ2」ミッションの全体像が理解できるほか、探査機の新機能やロケットの仕組みなどに関する技術解説もあり、36分間があっという間に感じられる、盛りだくさんな内容となっている。

初号機の再突入。気が早い人はきっとここで号泣

目標天体「1999JU3」の詳細はまだ分かっていない

新機能の紹介も。これはインパクタ(衝突装置)だ

前作は全編CGだったが、今回は実写も取り入れた

ロケットの仕組みも分かりやすく解説していた

そしてH-IIAロケットで、種子島から宇宙へ……

ナレーターは前作に引き続き、俳優の篠田三郎氏が務めた。

上坂監督は4年前、「はやぶさ」の帰還をオーストラリアのウーメラ砂漠で見届けた。「はやぶさ」が燃え尽きる様子を見たとき、「はやぶさがやったこと、そしてはやぶさに対して日本中の人達が応援してくれたこと。そういうことに対して、何か報いたい」と強く想ったのだという。今回のHAYABUSA2は、その想いから生まれた作品だ。

上映前、上坂監督は「前作は人間が一切出てこなかったが、今回は地球からはやぶさ2を宇宙に送り出すことがテーマなので、人間が大勢出演している。この作品は、はやぶさ2ではなく、僕ら自身が主役。皆さんも、ぜひそのつもりで見て欲しい」と挨拶した。

試写会が行われた多摩六都科学館。日本有数の大型スクリーンがある

上映前に挨拶した上坂浩光監督(有限会社ライブ代表取締役)

現時点で上映が決まっているのは、ライフパーク倉敷科学センター(岡山県倉敷市、上映中)、新潟県立自然科学館(新潟県新潟市、7月19日~)、山梨県立科学館(山梨県甲府市、7月19日~)、相模原市立博物館(神奈川県相模原市、7月19日~)の4カ所。今後、順次拡大していく予定なので、最新情報については公式サイトをチェックして欲しい。

【あらすじ】
はやぶさの姿に、想いを重ねた沢山の人たちがいた
はやぶさを引き継ぐはやぶさ2ミッションは、幾度となく先送りされ、一時は実現不可能なところまで追い詰められていました。しかし、はやぶさ2を応援する多くの人の声が日本中から集まり、ミッションは、実現に向けて大きく動き出します。より大きな推力を持つイオンエンジン、沢山のデータを送信出来るKaバンドアンテナ、小惑星表面を探査する3機のミネルバ2とMASCOT、そして人工的にクレータを作るインパクタ装置。はやぶさ2の機体を紹介しながら、ミッションの詳細に迫ります。そして2014年末、いよいよはやぶさ2はロケットの力を借りて、宇宙に旅立っていきます。再び彼の新しい旅が始まるのです。

(C)ライブ (C)HAYABUSA2製作委員会