湿度が高いこの時期。ベッドに入っても寝苦しくて、なかなか寝つけないという人は少なくないはず。不快なベタベタ感で夜中に起きてしまったり、朝起きても疲れが取れていなかったりといったこともあるだろう。その上、「2014 FIFA ワールドカップ ブラジル大会」が開催中ということもあり、明け方までテレビ観戦をしていて睡眠サイクルが乱れてしまった―という人も周りにはいないだろうか。

これから夏本番に向かって、ますます寝苦しい夜は増えていく。だからこそ、今この時期に「いい睡眠」とは何かを知っておこう。

朝になっても疲労感が取れず、ベッドから起きられない……なんてことはないだろうか

体の疲労がないと熟睡度は低下する!?

この時期に快適に眠るためには、室温は25℃前後、湿度は50~60%が理想的と言われている。ただ実際には、熱帯夜になれば室温は30度前後まで上がり、湿度も75%を超えることが少なくない。室内環境がその状況だと、パジャマを着た背中などの湿度はもっと高くなり、熱がこもってムレる。そのため、寝苦しく、寝つきが悪くなってしまうのだ。

さらにもうひとつ問題なのは「運動不足」。梅雨の時期は外に出て活発に過ごすことができない。また、夏場も暑くて外に出るのが億劫(おっくう)になりがちのため、自分が思っている以上に運動不足になっている人が多いのだ。

すなわち、デスクワークなどで脳は1日フル活動して疲労している一方で、体は疲労していない状態になる。脳は疲労しているために「眠い」「疲れた」と感じるものの、体が疲労していないために寝つきが悪かったり、質が悪い浅い睡眠になったりしてしまう。いい睡眠を考えるためには、「湿度・気温対策を考えた睡眠環境」と「体を動かすこと」がポイントとなってくるというわけだ。

睡眠の質が低下すると、他の病気を誘発することも

たかが睡眠と侮ってはいけない。健康の基本は「バランスのいい食事」、「適度な運動」、そして「質のいい睡眠」だからだ。ただ、睡眠は軽視されやすいのが現状なのだ。

「寝つきや睡眠の質が悪いけれど、仕方ない」と放っておくのは危険で、疲労感など肉体面に対する影響はもちろん、精神面にも影響してくる。また、質の悪い睡眠はエイジングも加速させる。いろいろと工夫したが睡眠の質がよくならないという場合は、睡眠専門医や心療内科、精神科などに相談する方が賢明だろう。

睡眠環境と睡眠できる体作りが大事

湿度や気温などを快適にする睡眠環境の整備と同時に、「睡眠できる体」「自然と眠くなる体」を作ることを心がけよう。比較的すぐできることばかりなので、今日から始めてみてはいかがだろうか。

対策1 「エアコンを使用しない方がいい」は間違い。正しい室温・湿度管理を

よく「エアコンは体に悪い」といって、熱帯夜で寝苦しいのにエアコンを使わない人がいるが、それはひと昔前の話。今はエアコンの設定も、温度や風向きなどを細かくコントロールできるものが多いので、上手に利用することが大事だ。「室温27℃前後で、自分にとってベストな室温と湿度に設定する」「エアコンや扇風機の風を体に直接当てないように注意する」「朝と帰宅後は窓を開けて換気をする」などの習慣を取り入れるようにしよう。

対策2 さらっと素材の寝具や寝間着に変える

さらっと素材の寝具や寝間着がこの時期たくさん出るが、どれだけ効果があるのか疑心暗鬼になっている人も多いかもしれない。ただ、人は体にたまった熱を放散して、少しずつ体温を下げながら熟睡に入っていく。熱がこもるような素材の寝具や寝間着だと、この熱放散が上手にできないために寝つきが悪くなってしまうのだ。自分が心地よく熱がこもらないと思う素材で問題ないので、寝具や寝間着の素材も見直してみるといいだろう。

対策3 筋肉を使う運動を取り入れる

体の疲労がないと、人は深い睡眠を得ることができない。デスクワークが中心の人は、特に筋肉を使う運動を取り入れるようにしよう。とはいっても、この時期に運動するのは難しいという人もいるだろう。そういう場合は、歩くときに少し大股にしてヒップから太ももの筋肉を意識する、階段を見たらのぼるクセをつける、1日20回前後スクワットをするといった、自分ができる範囲で筋肉を使う運動を取り入れてみよう。

対策4 朝は光を浴び、夜は光をセーブする

太陽の光は睡眠サイクルに大きく作用する。起床時にカーテンを開けて太陽の光をしっかり浴びると、睡眠に作用するメラトニンが分泌されることで睡眠サイクルが整えられる。朝に日光を浴びることで、夜の睡眠が整うことになるというわけだ。最近、遮光カーテンにして太陽の光を遮断している人も少なくないが、そういう場合は、目覚めたらカーテンを開けて太陽の光をしっかりと浴びるようにしよう。逆に、夜の強い光は脳に刺激を与え、睡眠の妨げになる。特にスマートフォンやパソコンの画面はその影響があると言われている。ベッドに入る1時間前には、これらの画面を見ないなどのルールを作ることも大事だ。

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